2005年は世界物理年です!
--会員の皆様のアイデアを募集します--
和 達 三 樹 [副会長 東大理 e-mail: ]
2002年10月 9-12日、 ベルリンで開催された国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)総会で、2005年を世界物理年と設定することが決まりました。国際的にまた各国で、多くの催しが予定されています。正式な英語名は、2005-World Year of Physicsです。以下では、物理年またはWYP2005と略することにします。気がつけば、2005年は近くにきています。この機会に、物理年への参加を、皆様に呼びかけたいと思います。物理学は、現在の私たちの文化的科学的生活を支える基盤となっています。一方、先進国においては物理学を習得する学生の数は年々減少し、我が国も例外ではありません。また、我が国は科学技術立国と称しながら、国民の科学リテラシーは極めて低いレベルにあります。この物理年は、物理学のおもしろさ、物理を勉強する楽しさ、を次世代の若者に伝えるとともに、物理学の正しい理解と果たしている役割を社会にアピールする、良い機会であると考えます。
なぜ、2005年が特別な年なのでしょうか。それは、容易に想像がつかれたと思いますが、その100年前の1905年に、 アインシュタイン (Albert Einstein, 1879-1955)が3つの大きな発見を発表したからです。まさに1905年は奇跡の年であり、特殊相対性理論、光量子説に基づく光電効果の理論、ブラウン運動の理論、がたった一人の物理学者によって、提唱されました。現在では、これらが関連する分野は、ほとんどすべての物理分野であるといってよいでしょう。
日本物理学会では、「物理年ワーキンググループ(WYP2005)」を設置して、これから本格的な活動を始めようとしています。「物理年ワーキンググループ」では、色々なアイデアを出し合って検討していますが、この行事活動には会員の皆様の支援がぜひとも必要です。さらに、より広い社会との共同企画が大切だと考えています。できるだけ多くの方々に呼びかけてアイデアを募り、いろいろな企画を提案していただきたいと思います。物理学会としては、全国レベルから各地域のイベントまで含め、今まで取り組んできた講演会やセミナーを生かしながら、新しい企画を取り入れて、より活発で有意義な行事活動を進めていきたいと考えます。
物理年の意義を生かすために、以下のような方針と企画を検討しています。
しかし、実際に活動に結びつけるのは、簡単ではありません。これまでの物理学会の活動を振り返ってみますと、博物館や資料館、地方自治体や各種財団、と密接な連絡を保ってきたわけではありません。また、若い世代への働きかけを行う機会を十分に持っていたとは言えません。これらの点においても、会員の皆様の協力がぜひとも必要です。色々なアイデアや提案を出していただき、それらを具体的な活動として進めたいと思います。そして、2005年だけではなく、そのなかから、より恒久的な活動の可能性を探していきたいと考えます。
- 物理学の発展と成果を、できるだけ多くの方々に正しく伝える。
- 博物館、科学館、資料館での展示や講演会の共催
- 地方自治体の市民講座への支援と共催
- 各種財団や団体との講演会の共催
- 若い世代に、物理学の楽しさを伝え、将来の科学への夢を育てる。
- 教育委員会と共催の科学セミナー
- 小学校、中学校、高等学校の先生方との協力による催し
- 科学分野への女性の積極的参加を動機づける企画を取り入れる。
今後、会誌を通じて、また、ホームページを通じて、会員の皆様に呼びかけながら、物理年へ向けての準備を進めていくつもりです。「世界物理年2005 (WYP2005)」の活動開始にあたり、多くの会員の皆様のアイデアと企画をお願いいたします。
(日本物理学会誌 Vol.59 No.1(2004)掲載)