2005世界物理年によせて
--子供たちに物理の楽しさを--久 保 謙 一 [2005世界物理年委員会委員 e-mail: ]
[日本物理学会誌 Vol.59 No.5(2004)掲載]
2002年のIUPAP総会では、2005年を「世界物理年(2005-World Year of Physics, WYP2005)」に設定し、国際的規模や各国独自の多彩な事業を呼びかけています。本学会では、前年の2004年から準備、企画立案、事業展開を行うこととし、先月号に北原和夫さんから、現在の進行状況についてお知らせしました。本学会に設置された「2005世界物理年委員会(WYP2005-JPS)」では、 催しの一つとして、次の日本の科学・技術を担う子供たちの、物理科学への興味・関心を高めるための企画を検討してきました。子供たちにとっては最近は、出前授業、 理科実験教室、 理科工房、 科学館等で、講師の話を聴き指導を受け、物理科学を楽しむ機会が増えています。これらの催しは、工夫も重ねられ成果を上げてきています。当委員会では、これまでのこの種の催しへの連携・支援を強め、世界物理年の行事としていっそう充実するための取り組みも検討しています。
一方、子供たちが自分で考え、やってみて、「これは面白い」、「こうなっていたのか」といった、物理の現象、原理、応用などに、実感を持って触れ、楽しむ機会をつくることを検討してきました。本学会誌には、これまでも会員からの素晴らしいアイディアに富んだ物理実験が、度々紹介されてきました。これらの内容は、大学理工・教養教育、高校物理教育に相応しいものが多いように思います。
本会員の皆さんには、子供たちが一人でもできる、経費もできるだけ安い実験を、あれこれ考え積み重ねておられる方がいると思います。子供たちに、「こういう物理実験をやらせたい」、「やってほしい」とお考えの方も多いと思います。 また、 実験に限らず、「こういうことを自分で考えてみてほしい」というテーマもあるかもしれません。そういったことを通して、子供たちが物理科学に触れ、関心を深め、そしてなによりも、物に触れること、考えることが好きになる機会を与えたら如何でしょうか。
しかし会員のみなさんが、この発案に賛同して、興味深い実験をお寄せいただいたとしても、本学会誌上に提案・掲載するだけでは、子供たちには殆ど伝わりません。全国的科学誌を通して、子供たちの目に直接触れる機会があれば、遥かに効果的だと思います。
そこで、月刊誌「子供の科学(誠文堂新光社)」の編集部と協議を重ね、同誌に「WYP2005」のロゴマーク入りの連載ページを設定していただけることになりました。 「子供の科学」 は1924年に創刊され、今年で80年になります。主対象読者は、小学校高学年から中学生となっていますが、小学校低学年から高校はじめまで、広い読者層をカバーしています。
この企画「子供たちに物理の楽しさを」を実施するには、次のステップを考えています。
なお、子供たちからの実験の結果、工夫・苦心したところ、考えたこと、感想など反応を寄せてもらう案も出ています。これを基に、素晴らしい実験、発想をした子供たちを、さらに励ます企画も考えられます。例えばこれらの中から、希望する近くの大学の物理研究室に招待して研究を体験できる、研究所や企業の工場等を見学できる、そのテーマを執筆した筆者に会って話をすることができる、会いたい物理学者と話ができる等です。これらは本学会員の皆さんの協力を得て初めて実現できることだと考えています。この掲載後の対応は、実現性を含め今後検討していくことになります。
- 本会員に、実験等のテーマ、内容を提案してもらう。
- 本委員会内委員に「子供の科学」の編集者を加えて、掲載に適当なものを選び原稿執筆を依頼する。原稿の基本型は1,500字、図3枚程度。
- 連載は2004年秋季から2005年末の間を予定している。
以上に述べた趣旨に添い、次の通り本会員に呼びかけを行いますので、ご応募いただくよう、よろしくご協力お願いいたします。
本会員の皆様の多数の応募をお待ちしております。
募 集 子供たちが一人でもできる物理実験
子供たちに考えてほしい物理事象・現象などの提案応募方法 テーマと要旨をA4判1枚程度にまとめたもの
参考資料があれば添付 一人複数テーマ応募可締 切 第1回:平成16年6月18日(金)
第2回:平成16年9月24日(金)
第3回:平成17年1月14日(金)宛 先 次のいずれでも可、「WYP2005 子供実験提案」係と明記 郵送 105-0004 東京都港区新橋5-34-3 栄進開発ビル5F
日本物理学会FAX 03-3432-0997 WYP2005@jps.or.jp 問い合わせ 久保謙一:e-mail: kubo@comp.metro-u.ac.jp (2004年2月17日原稿受付)