日本物理学会誌

第68巻 第5号

cover-13-05.jpg■表紙の説明
グラフェンに代表される一原子厚みの二次元物質が今注目を集めている.グラフェンのSi版であるケイ素の蜂の巣構造シート「シリセン(silicene)」もその仲間だが,長らく理論上の存在にとどまっていた.というのも,ケイ素は周期表で炭素のすぐ下に位置するが,黒鉛構造のケイ素の存在が確かめられたことがなかったからである.ところが最近,二ホウ化ジルコニウム上にエピタキシャルにシリセンが形成されることが実験的に明らかになった.図中の結晶構造は,その実験結果を総合して構築されたモデルをもとに第一原理計算を行って得られたものである.詳細は本号に掲載されている高村(山田)由起子氏らの「最近の研究から」記事を参照のこと.

■口絵
今月号の記事から 283

■巻頭言
アジアの時代 本林 透 287

■解説
固体量子情報の長距離移送と量子電子光学実験への挑戦 山本倫久,高田真太郎,樽茶清悟 288
ジャイロ運動論による磁化プラズマ乱流の研究―核融合から宇宙まで― 洲鎌英雄,渡邉智彦 296

■最近の研究から
シリセン:ケイ素で出来たグラフェン? 高村(山田)由起子,アントワーヌ・フロランス,ライナー・フリードライン,尾崎泰助 305
ナノカーボンの原子スケールの剥離と接着 三浦浩治,佐々木成朗 309
相変化光記録膜材料のコヒーレントフォノン分光と超高速光誘起構造変化 長谷宗明,牧野孝太郎,富永淳二 314
強磁性遷移金属における磁性の電界制御 千葉大地,小野輝男 318

■JPSJの最近の注目論文から 
1月の編集委員会より 安藤恒也 323

■談話室
統計力学の新しい教え方佐宗哲郎 325
質問する学生達を育てる,英語版本を海外出版する 八木浩輔 326

■新著紹介 328
量子力学I,量子力学II:大場 一郎
Atomic Physics; An Exploration through Problems and Solutions 2nd Edition:畠山 温
科学をどう教えるか;アメリカにおける新しい物理教育の実践:真貝 寿明