■表紙の説明
「太陽圏」のモデル図(©NASA/Goddard/Walt Feimer).太陽から吹き出す高速のプラズマ「太陽風」の圧力が銀河起源の星間プラズマの圧力よりも優勢な領域を太陽圏と呼ぶ.両者が平衡にある面はヘリオポーズと呼ばれ,太陽系の電磁気学的な境界とみなすことができるが,その形状は太陽系が銀河系内で運動する方向に伸びていると考えられている.1977年に打ち上げられたボイジャー1号と2号は,惑星探査を終えて太陽圏外縁部を飛行していたが,2012年にボイジャー1号では急激な宇宙線強度の変化が観測され,ついに太陽圏を脱出したと考えられている.さまざまな宇宙プラズマ現象を「実地で」観測しつつあるボイジャーと太陽圏の物理に注目が集まっている.詳細は本号に掲載されている鷲見治一氏の「交流」記事を参照のこと.
■巻頭言
学術会議と物理学会 岡 真 ...... 239
■現代物理のキーワード
ニュートリノ振動―量子力学的干渉効果の一例― 安田 修 ...... 242
■交 流
ボイジャー1号探査機,太陽圏境界を越え星間空間に入る 鷲見治一 ...... 244
■解 説
形状可変な境界としてのシワ(リンクル)構造の展開 大園拓哉 ...... 253
感熱性高分子水溶液の相分離・ゲル化・レオロジー 田中文彦 ...... 260
■最近の研究から
微粒子の熱放射における共振器量子電磁気学的効果 立川真樹,小田島仁司 ...... 269
■実験技術
"実験技術"としての量子多体系シミュレーションソフトウェアALPS 藤堂眞治 ...... 275
■JPSJの最近の注目論文から
12月の編集委員会より 安藤恒也 ...... 283
■ラ・トッカータ
アメリカでの就職活動記 堀内俊作 ...... 285
アメリカさすらい滞在記 村瀬孔大 ...... 287
■学界ニュース
第2回湯浅年子賞「金賞」:坂東昌子氏 東島 清,森 初果 ...... 290
第2回湯浅年子賞「銀賞」:関口仁子氏 酒井英行 ...... 290
2014年度文化功労者:佐藤勝彦氏 横山順一 ...... 291
■追 悼
松原武生先生を偲んで 米沢富美子 ...... 292
■新著紹介 ...... 293
世界の見方の転換1;天文学の復興と天地学の提唱;横山 雅彦
世界の見方の転換2;地動説の提唱と宇宙論の相克;横山 雅彦
世界の見方の転換3;世界の一元化と天文学の改革;横山 雅彦
計算で身につくトポロジー;鈴木 淳史