■表紙の説明
表紙は米国フェルミ国立加速器研究所で1985年から2011年まで陽子反陽子衝突実験が行われたCDF測定器の全景である（米国フェルミ国立加速器研究所提供）．写真は1987年に撮影されたもので，内部の測定器の保守作業のために「エンドプラグ」と呼ばれる端部が開けられ，「セントラルカロリメータ」と呼ばれる側部の測定器（半月型のもの）が左右に大きく開かれている．CDF測定器は約10 m×10 m×10 m，総重量3,000 tonの巨大な汎用測定器である．その中心で陽子と反陽子が衝突し，反応が起こり，生成した粒子が四方八方に飛び散る．それらの粒子を捕まえるための多種多数の測定器が，衝突点の周りを取り囲んでいる．測定器を用いた実験の詳細は本号「解説」記事を参照されたい．

■巻頭言
物理学会の男女共同参画活動と今後の方向性　　板倉明子 ...... 383

■現代物理のキーワード
大質量星・連星形成の理解に向けて（Keyword: 大質量星形成）
富田賢吾 ...... 386

■解　説
CDF実験30年の軌跡と物理成果　　金　信弘，受川史彦 ...... 388

■最近の研究から
次世代重力波観測によるブラックホール連星の起源の検証　　西澤篤志 ...... 398
多端子系のジョセフソン接合が示すトポロジカル物性　　横山知大 ...... 402
量子力学における「時間の矢」　　羽田野直道 ...... 408
金属フタロシアニン系伝導体における分子設計と巨大磁気抵抗効果
松田真生，花咲徳亮 ...... 415

■物理教育は今
このままで良いのか大学の電磁気学教育　　小宮山　進，竹川　敦 ...... 422

■JPSJの最近の注目論文から
2月の編集委員会より　　上田和夫 ...... 427

■学界ニュース
2016年度仁科記念賞：高柳　匡氏　　江口　徹 ...... 429

■追　悼
丹生　潔先生を偲んで　　丹羽公雄 ...... 430

■新著紹介 ...... 431
固体の磁性；はじめて学ぶ磁性物理：小山知弘
Fundamental Fluid Mechanics and Magnetohydrodynamics：廣田　真