JPSJ

Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ)は、日本物理学会が刊行する月刊誌で、創刊以来、レベルの高い論文を出版してきました。各号は、Full Papers, Letters等のオリジナル論文から構成され、随時、Invited Review Papers, Special Topicsを掲載しています。最新の論文は、オンライン公開後、約1か月間無料でご覧いただけます。[> JPSJホームページ]

注目論文 (Papers of Editors' Choice)

  • 毎月の編集委員会では、注目論文(Papers of Editors' Choice)を選んでいます。その日本語による紹介文を日本物理学会誌とJPSJ注目論文に掲載しています。注目論文はオンライン公開後1年間無料で閲覧できます。関連した話題についての解説がJPSJホームページの「News and Comments」覧に掲載される場合もあります。

JPSJニュースレター

  • 年次・秋(春)季大会の開催にあわせてニュースレター(日本語)を発行しています。
    JPSJニュースレター最新号(No. 41) をウェブ公開しました。

    また、これまでに発行したニュースレターはこちらからご覧いただけます。

最新のJPSJ注目論文

生成AIは、文章や画像生成など幅広い分野で応用が進む人工知能・機械学習技術であり、近年、科学研究においてもその有用性が注目されている。生成AIを物理学のシミュレーションに導入するにあたって、機械学習の前に物理学の常識である対称性に関する部分をAIに組み込んでしまうことで、訓練パラメータ数を劇的に減らし軽量高速なAIモデルを作成することに成功したことが報告された。スケーリング則はこのモデルでも成り立ち、大規模化することで精度も高められる。本研究は、物理学分野に適した生成AIモデルの設計手法を示し、今後の研究や応用に新たな可能性をもたらすものと期待される。

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原論文は以下からご覧いただけます
Self-Learning Monte Carlo with Equivariant Transformer
Yuki Nagai and Akio Tomiya
J. Phys. Soc. Jpn. 93, 114007 (2024).

近年、強磁性体・反強磁性体に続く第3の磁性体として交替磁性体が注目されている。p波交替磁性体を用いたトポロジカル超伝導体の新しい分光法が提案された。2次元非従来型超伝導体においては超伝導体表面にトポロジカル起源のエッジ状態が存在することが知られていた。一方、p波交替磁性体のスピン状態の分裂によりフェルミ面を平行移動することでコンダクタンスに寄与する波数の領域を制御することができる。p波交替磁性体と様々な対称性をもつ非従来型超伝導体との接合の微分コンダクタンスを求めることで、エッジ状態の運動量依存性に関するより詳しい情報が求められ、エッジ状態の特定に有用な役割を果たすことが明らかになった。

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原論文は以下からご覧いただけます
Theory of Tunneling Spectroscopy in Unconventional p-Wave Magnet-Superconductor Hybrid Structures
Kazuki Maeda, Bo Lu, Keiji Yada, and Yukio Tanaka
J. Phys. Soc. Jpn. 93, 114703 (2024).

準結晶で発見されている超伝導や強磁性や量子臨界性などを理解する上で、電子の量子状態が大域的にどのようなものであるかを知ることは重要である。大域的な一様性を解析するには、ハイパーユニフォーミティ(超一様性)という手法がある。一方で大域的な階層性を調べる手法として、マルチフラクタリティ(複階層性)がある。これらは一見すると独立した無関係なものに思われるが、準結晶のボーズ粒子系に発現する3つの量子相(モット絶縁体相、超流動相、グラス相)に2つの手法を組み合わせた数値解析を実行したところ、それぞれの量子相が超一様構造か複階層構造のいずれになることが明らかになった。

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原論文は以下からご覧いただけます
Multifractality and Hyperuniformity in Quasicrystalline Bose-Hubbard Models with and without Disorder
Masahiro Hori, Takanori Sugimoto, Yoichiro Hashizume, and Takami Tohyama
J. Phys. Soc. Jpn. 93, 114005 (2024).

電気四極子や磁気八極子などの磁性に由来する多極子の自由度は、通常は電子スピンの磁気的性質に隠れていて、その直接的検出は難しい。最近、表面弾性波を利用した磁気音響共鳴による四極子自由度の観測の可能性が示された。本研究は、磁性原子の結晶場四重項状態に対して、四極子や八極子の特徴を捉える新たな超音波共鳴法を提案している。特に、f電子系で長年研究されているCeB6の多極子物性の解明に向けた本研究の提案は重要である。また、強磁場下での測定にも対応するために、超音波とマイクロ波を組み合わせる全く新しい共鳴法も提案している。

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原論文は以下からご覧いただけます
Theory of Magnetoacoustic Resonance to Probe Multipole Effects Due to a Crystal Field Quartet
Mikito Koga and Masashige Matsumoto
J. Phys. Soc. Jpn. 93, 114701 (2024).

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