JPSJ注目論文

JPSJ 2008年4月号の注目論文

「揺らぐ小さな自己触媒系が引き起こす現象の解明へ」

生命現象を理解する上で重要な現象の一つは自己触媒反応---例えば、反応式 A+B→A+A で表されるように、A分子が自ら触媒的な役割を果たしながら自己を増やす反応---である。
最近、大久保潤(東大)、N. Shnerb、D.A. Kessler(共にイスラエルBar-Ilan大学)の3氏は、有限サイズの自己触媒系における揺らぎが引き起こす現象について理論的な定式化に成功した。ランダムウォーク(酔歩)と呼ばれる簡単な確率モデルで現象の本質を捉えることに成功したものとして研究者の注目を集めている。


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「半導体励起子系の超高速光学非線形応答を発見」

厚さが100 nm ほどの半導体GaAsに、その励起子エネルギーに近いエネルギーのレーザー光を照射すると、強い非線形応答が生じるが、その応答の速さは比較的遅く、数ピコ秒であることが知られていた。最近、情報通信研究機構、神戸大学、徳島大学、科学技術振興機構の研究者からなる研究グループは、パルスレーザーのパルス時間幅を小さくすることにより、0.1ピコ秒程度の速さの超高速非線形応答を見出した。超高速光スイッチの実現に繋がりうる発見として研究者の注目を集めている。


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