会長メッセージ

言語 : English

会長メッセージ

第81期の会長を務めることになりました宮下精二です。微力ですが全力を尽くしていく所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

日本物理学会の基本的使命は、物理学の振興と、会員個々の研究活動に役立つ制度(大会、論文誌刊行など)や研究環境の整備、また物理学を学んだ人たちの進路設計の情報周知の充実等にあると思います。これらに真剣に取り組んでいきたいと考えています。

今、悩ましい問題として、物理学会の正会員数の斬減が2000年以降続いていることがあります。これは、必ずしも日本物理学会だけの問題ではありませんが、将来の物理コミュニティの減少が危惧されます。自然界の不思議に関して物理への底堅い関心の高さは健在と思いますが、専門家として物理学をしっかり取り組み、その発展を担っていってくれる人がいなくなることがないように若手育成、若年層への物理への関心喚起が重要課題です。

そのために、若手に対して、「物理学は何か凄そう、自分もやってみたい」と思ってもらえるようなアピールのためのアウトリーチの重要性が喫緊の課題と考えます。物理学会では今、オンライン物理講話、Jrセッション、公開講座、各種イベントの充実を通して、この問題に取り組んでいます。昨年度から導入された、学生会友の無料化は会友数の飛躍的増大につながり大きな効果を上げています。これらは将来の正会員の卵として期待しています。さらに、大会での学生優遇、キャリアパスの情報充実なども含め今後もより多くの取り組みを積極的に進める所存です。もちろん、正会員の研究活動に対する各種補助金などの支援拡大など、研究推進の強化への働きかけも重要な課題です。それらに総合的に取り組んでいきたいと思います。

今年は、量子物理学誕生100周年を記念したユネスコの国際量子科学技術年です。それに伴い、物理学会でも多くの企画を進めています。これらを通して、『日本物理学会』が少しでも多くの人の目にとまり、物理が「何か難しそう」といった印象ではなく、その活動を知ってもらい、物理の面白さを共有していければと思っています。

近年AIの出現で、独創性に関する議論が盛んになっています。いろいろなことをAIに聞いて見ると、多くの場合、まだわかっていないとの答えも含め、極めて妥当な答えが返ってきてすごいなと思います。しかし、それらは「わかっている」ことをうまく整理してくれているのであり、「わかっていない」ところへの取り組み、解明こそは研究者としての役割であり、喜びであると思います。また、物理学会の社会に対する責任としては、世間での根拠のない効果の喧伝、いわれのない風評、不安のあおりなどに関して、物理学会としての真にサイエンティフィックな見識を発信していくことが重要です。そのような情報発信の仕組みについても取り組んでいきたいと考えています。

学会運営に関しては、年会や分科会などの大会のあり方、ジェンダーやマイノリティメンバーに関するダイバーシティーの問題、国際誌刊行のあり方、さらには日本物理学会の公益性を鑑み制度としての公益化の是非など、諸問題山積です。日本物理学会は、会員15000を有する大所帯であり、アンケートなどでの意見の分布は非常に広く、どのように会員の皆様の要望に対応できるか真剣かつ慎重に検討を進めています。

皆様の忌憚のないご意見、ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。

第81期会長
宮下 精二
MIYASHITA Seiji
(第81期 会長任期:2025年3月31日より2026年3月31日)
プロフィールはこちら