会長メッセージ

会長メッセージ

 第77期会長を仰せつかりました田島です。微力ですが精一杯務めますので、どうぞよろしくお願いいたします。実は、長い間理事会から離れておりましたので、学会が今どのような運営上の問題を抱えているのか、よくわからないまま副会長に就任し、昨年度1年間見習いをさせていただきました。新型コロナウィルス感染拡大への対応といった予期せぬ課題もあり、長期的視点にたった運営と同時に、短期的な問題に対応するフットワークの軽い運営も必要であることを痛感しました。
 日本物理学会の一番の使命は何か、と言えば、研究者に研究成果の発表の場や議論の場を提供すること、それによって研究活動を活性化すること、これに尽きると思います。その意味では、年2回の大会開催や論文誌の出版が、学会活動の二つの大きな柱であり、どのような困難があっても、この二つを最優先してやっていく所存です。ここで「困難」と申し上げた中には、新型コロナウィルス感染拡大もありますし、財政赤字、会員数、学会発表件数や論文数の漸減など、様々な問題があります。
 今、世の中には日本の研究力低下を嘆く声があふれております。研究力低下の原因の一つが、この20年に渡る様々な国の制度改革にあることは、データを見る限り明らかに思われます。このことについては、機会あるごとに声をあげていくべきでしょう。しかし、我々研究者自身で解決する努力も必要です。例えば、年次大会や秋季大会をより活性化するためにはどうしたらよいか、互いに切磋琢磨する雰囲気を盛り上げていくにはどうしたらよいか。良いアイデアがありましたら、是非理事会にお寄せください。一つのアイデアは、「外からの刺激を入れる」ということです。昨年秋には、韓国物理学会の会期中に日韓合同シンポジウムを開催しましたが、オンラインであれば、比較的容易に海外の物理学会との合同セッションを開けるのではないでしょうか。特定の国とでもいいですし、アジア太平洋物理学会連合のような枠組みでもよいと思います。日本が極東の島国であるという事実は変えようもなく、努力して外の空気を吸わないと、いつの間にかガラパゴス化してしまう危険があることを忘れてはなりません。もちろん、物理学は比較的世界とよくつながっている研究分野ではありますが、研究費が十分でなくなれば、自然に外に出る機会が減っていきますし、それは若い世代に大きな影響を与えるように思います。「国際化」は、学会が目指す一つの方向性ではないでしょうか。
 最後にもう一つ重要な視点である「情報発信」について。学問分野の発展の命運は、次世代人材がどれだけ育つか、にかかっています。物理学が今後も魅力的な学問分野であり続けること、それによって優秀な若者を惹きつけることは、物理学を愛する者にとって共通の願いでしょう。このことに少しでも貢献できるよう、物理学会も様々な情報発信に努めてまいりたいと思います。

第77期会長
田島 節子
TAJIMA Setsuko
(第77期 会長任期:2021年3月31日より2022年3月31日)
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