JPSJ

Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ)は、日本物理学会が刊行する月刊誌で、創刊以来、レベルの高い論文を出版してきました。各号は、Full Papers, Letters等のオリジナル論文から構成され、随時、Invited Review Papers, Special Topicsを掲載しています。最新の論文は、オンライン公開後、約1か月間無料でご覧いただけます。[> JPSJホームページ]

注目論文 (Papers of Editors' Choice)

  • 毎月の編集委員会では、注目論文(Papers of Editors' Choice)を選んでいます。その日本語による紹介文を日本物理学会誌とJPSJ注目論文に掲載しています。注目論文はオンライン公開後1年間無料で閲覧できます。関連した話題についての解説がJPSJホームページの「News and Comments」覧に掲載される場合もあります。

JPSJニュースレター

  • 年次・秋(春)季大会の開催にあわせてニュースレター(日本語)を発行しています。
    JPSJニュースレター最新号(No. 43) をウェブ公開しました。

    また、これまでに発行したニュースレターはこちらからご覧いただけます。

最新のJPSJ注目論文

カーボンナノチューブにおけるフォノン誘起電流雑音の周波数依存性が理論的に解析され、高周波領域では複数の共鳴ピークが現れることが明らかになった。これらのピークは特定のフォノン散乱に対応するだけでなく、一部は非調和フォノンの関与が示唆される。すなわち、高周波電流雑音の解析は、物質中で生じる複雑な電子・フォノン散乱プロセスに関する新たな「情報」を与えている。本成果は、ナノスケール物質における電子散乱の複雑さを捉える新しい計測手法を提示する重要な成果である。

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Frequency Dependence of Phonon-Induced Current Noise in Armchair Carbon Nanotube
Raimu Akimoto, Aina Sumiyoshi, and Takahiro Yamamoto
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 104802 (2025).

磁性と誘電性を併せ持つマルチフェロイック物質は、電気磁気効果を活用した省エネルギーデバイスへの応用が期待されている。これまで、その研究は主に電場で電気分極を反転できる強誘電体が中心で、電気分極が反転しない焦電体は見過ごされがちであった。最近、焦電性フェリ磁性体CaBaCo4O7において、外部電場の向きによってフェリ磁性相が安定化、あるいは不安定化する現象が発見された。これは焦電体特有の新しい電気磁気効果であり、今後の材料開発に新たな指針を与えるものである。

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Magnetoelectric Effect Dependent on Electric Field Direction in a Pyroelectric Ferrimagnet CaBaCo4O7
Takumi Shirasaki, Masaaki Noda, Hinata Arai, Mitsuru Akaki, Haruhiko Kuroe, and Hideki Kuwahara
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 103702 (2025).

電子強誘電体YbFe2O4薄膜において、第二高調波発生(SHG)の入射角および偏光方位角依存性が調べられた。結果がこの系の対称性(点群m)に基づき解析されることによって、YbFe2O4の非線形感受率テンソルの全ての成分比が初めて決定された。これまで、バルク結晶では強誘電分極の相関長(分極がそろっている長さ)が短く、分極軸方向のテンソル成分が不明であった。今回のエピタキシャル薄膜はバルク単結晶よりもc軸方向の電子分極配列が揃っているため、すべての成分比が決定されたただけでなく、電子強誘電体の分極軸方向の非線形感受率が極めて大きいことが初めて明らかになった。

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Polarization Structure Probed by Incident Angle Dependence of Second Harmonic Generation in Electronic Ferroelectric YbFe2O4
Xiaopu Wang, Hongwu Yu, Tadahiko Ishikawa, Shinya Koshihara, Naoshi Ikeda, Misato Nasu, Tatsuo Fujii, and Yoichi Okimoto,
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 094802 (2025).

有力な熱電材料であるホイスラー型金属間化合物Fe2VAlでは、高温急冷の熱処理によって熱起電力の向きが逆転するという特異な現象が報告されていた。急冷で生じるアンチサイト欠陥という磁性元素の乱れに着目した理論研究により、乱れによって生じる共鳴状態の寄与で正孔キャリアと電子キャリアの散乱確率が大きく変化して熱起電力の向きが変わるという機構が提案された。この新しい機構は、より高い性能を持つ熱電材料の設計指針となると期待される。

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原論文は以下からご覧いただけます
Effects of Antisite Defects on Seebeck Coefficient in Fe2VAl -- Analyses based on Bipolar Random Anderson Model
Takami Tohyama and Hidetoshi Fukuyama
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 094603 (2025).

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