JPSJ 2011年6月号の注目論文
「電気四極子の自由度による異常な金属状態:新しいタイプの近藤効果の可能性」
近藤効果が固体物理学の中で果たす役目の重要性についてはいうまでもない。元々の近藤効果は伝導電子と局在したスピンの相互作用によるものであるが、20数年前に伝導電子と電気四極子の相互作用によっても近藤効果(に類似の現象)が生じうるという事が理論的に予言された。スピンによる近藤効果では低温では伝導電子はフェルミ液体となり、電気抵抗は温度の二乗に比例するが、電気四極子によるものの場合は、電気抵抗は温度の1/2乗に比例する。この研究では、PrV2Al20においてこのような振る舞いが見られ、電気四極子による近藤効果を示唆している。