JPSJ 2012年11月号の注目論文
BiS2超伝導層を有する新しい層状超伝導物質を発見
層状物質は二次元構造に由来した特異な電子状態が実現するため,高温超伝導をはじめとした非従来型超伝導機構が発現する格好の舞台である.銅酸化物系や鉄系超伝導系のように,共通の超伝導層を基本として様々な超伝導物質が設計できることも層状構造の特徴である.本稿では,BiS2層を超伝導層とする新しい層状超伝導物質群の発見について紹介する.特に,LaO1-xFxBiS2は10 K以上の比較的高い転移温度を示し,今後ブロック層構造の最適化による転移温度の上昇が期待される.
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Superconductivity in Novel BiS2-Based Layered Superconductor LaO1-xFxBiS2
Yoshikazu Mizuguchi, Satoshi Demura, Keita Deguchi, Yoshihiko Takano, Hiroshi Fujihisa, Yoshito Gotoh, Hiroki Izawa, and Osuke Miura: J. Phys. Soc. Jpn. 81 (2012) 114725
原子価スキッピング現象と電荷近藤効果の微視的な関係の解明
いくつかの金属化合物で議論されている原子価スキッピング現象 (または、不活性電子対効果とも呼ばれる)と電荷近藤効果が、電子間のクーロン相互作用の一種である電子対遷移相互作用から生じる多体効果を考慮することにより統一的に説明できることを明らかにした。また、電荷近藤-芳田一重項状態とスピン近藤-芳田一重項状態の二つの近藤-芳田一重項が接するパラメーター領域では、近藤-芳田一重項が単独で実現する時とは異なり、比熱のゾンマーフェルト係数が絶対零度に向かって発散的に増大することが分かった。
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Theory of Charge Kondo Effect on Pair Hopping Mechanism
Hiroyasu Matsuura and Kazumasa Miyake: J. Phys. Soc. Jpn. 81 (2012) 113705