JPSJ 2013年10月号の注目論文
ダブルペロブスカイト型チタンフッ化物における
スピン・軌道・格子の自由度の競合と幾何学的フラストレーション効果
京都大学大学院理学研究科化学専攻のグループは、スピン・軌道・格子の三つの自由度と幾何学的フラストレーションを有する新規の系としてダブルペロブスカイト型フッ化物A2BTiF6に着目し、この系に属する五つの化合物が低温で様々な相転移を示し、それらの相転移はダブルペロブスカイトの格子の不安定性の大きさによって整理できることを明らかにした。またこれらの五つの化合物の一般的な特徴として、低温においては有効磁気モーメントが減少するとともに、スピン間の反強磁性的相互作用がほぼ消失するという特異な振る舞いを発見し、高温で存在していたスピンの幾何学的フラストレーションが、低温では結果的に解消されていることを見出した。
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原論文は以下よりご覧いただけます
Competition between Spin Frustration, Lattice Instability, and the Jahn–Teller Effect in S = 1/2 Geometrically Frustrated Double Perovskite Fluorides A2BTiF6 (A = K, Rb, Cs; B = Na, K, Rb)
Masato Goto, Hiroaki Ueda, Chishiro Michioka, and Kazuyoshi Yoshimura : J. Phys. Soc. Jpn. 82 (2013) 104709