JPSJ 2013年12月号の注目論文
分子励起子・分子振動・表面プラズモンのダイナミクスが協奏する「多体量子効果」
—走査トンネル顕微鏡発光スペクトルに顕著に現れることを理論的に指摘—
大阪大学の研究グループは、走査トンネル顕微鏡(STM)のトンネル電流に誘起される発光(STM発光)に関する理論研究を行った。金属表面上の分子のSTM発光において、分子内の電子と正孔からなる励起子(分子励起子)・分子振動・表面プラズモンのダイナミクスを解析した結果、発光スペクトルに、これらのダイナミクスが協奏することで生じる「多体量子効果」が顕著に現れることを明らかにした。本研究は、分子励起子・分子振動・表面プラズモンといった様々な量子が結合した系の光学特性を解明するという未踏領域を切り拓くものであり、その成果は多くの研究者の関心を引いている。
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原論文は以下よりご覧いただけます
Effects of Interference between Energy Absorption Processes of Molecule and Surface Plasmons on Light Emission Induced by Scanning Tunneling Microscopy
Kuniyuki Miwa, Mamoru Sakaue, and Hideaki Kasai: J. Phys. Soc. Jpn. 82 (2013) 124707