JPSJ 2014年10月号の注目論文
ほぼ完全なフラストレーションをもつ磁性体で起こるマグノンの結晶化
一般に,磁性体の性質は原子に局在した電子スピンの巨視的整列の仕方で決まり,磁場中で現れる磁気の強さ(磁化)は整列したスピンの向きの変化によって生ずる。しかし,磁場中に置かれたある種の磁性体の性質は,スピンを量子力学的粒子に置き換えて考える方が本質的で統一的な理解が得られることが理論的に指摘されていた。本論文の著者は,フラストレーションと量子力学的効果によって,その粒子が全く動くことができないような磁性体を初めて合成し,強い磁場中で粒子間の相互作用によってできる粒子の規則的配列(結晶状態)を観測した。
詳しい説明はこちらから
原論文は以下よりご覧いただけます
Almost Perfect Frustration in the Dimer Magnet Ba2CoSi2O6Cl2
Hidekazu Tanaka, Nobuyuki Kurita, Makiko Okada, Eiji Kunihiro, Yutaka Shirata, Kotaro Fujii, Hidehiro Uekusa, Akira Matsuo, Koichi Kindo, and Hiroyuki Nojiri, J. Phys. Soc. Jpn. 83, 103701 (2014).
ヘリカル磁性体の磁気スキルミオン格子の低エネルギー有効ラグランジアン
ヘリカル磁性体におけるスキルミオン格子の低エネルギー励起がフェーゾン(位相粒子)自由度で記述されることを理論的に示し有効ラグランジアンを導出した。
詳しい説明はこちらから
原論文は以下よりご覧いただけます
Phasons and Excitations in Skyrmion Lattice
Gen Tatara and Hidetoshi Fukuyama, J. Phys. Soc. Jpn. 83, 104711 (2014).