JPSJ 2016年10月号の注目論文
結晶の臨界サイズで現れた新しい変形機構
ピコメートル精度の試料操作を実現したデュアルゴニオメーターステージを導入した“その場”高分解能透過型電子顕微鏡が開発され、これが30年に及ぶナノメートルサイズ接点研究において未着手であった体心立方構造金属の実空間観察に適用された。高融点金属であるモリブデンのナノメートル接点が電子顕微鏡内部で作製され、接点を機械的に変形させたときの微細化挙動が原子レベルの空間分解能で“その場”観察され、同時に電気伝導が調べられた。接点が結晶構造の臨界サイズである単位格子数個分まで微細化すると、これまでよく知られた変形機構とは異なる、原子が液体状に運動して結晶構造が崩れ固体が変形する機構である塑性流動的変形機構が現れることが見出された。
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原論文は以下よりご覧いただけます
Plastic Flowlike Deformation and Its Relation to Aperiodic Peaks in Conductance Histograms of Molybdenum Nanocontacts
Kohei Yamada and Tokushi Kizuka, J. Phys. Soc. Jpn. 85, 104601 (2016).