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東北支部だより「東北支部の活動紹介」

日本物理学会には地方にいくつかの支部があり,それぞれ独自の取り組みを行っている.この小文では東北支部の活動を紹介したいと思う.

東北支部は,地域としては青森,秋田,岩手,宮城,山形,福島がその対象範囲になっている.支部としては東北大学,宮城教育大学が中心となり,出前授業,高校の先生の実験授業に役立つ講習会への援助,科学イベントへの援助といった取り組みを行っている.

tohoku2026-chapter-1.png出前授業は1997年度(平成9年度)から始めた東北支部独自の取り組みで,もともとは高校からの要請から始まったようである.詳しい経緯については本誌の記事にあるので,ご一読いただきたい.1) 役員に出前授業担当という役職を設け,高校から申し込みがあれば,希望に応じた授業と講師を選定して派遣する.現在では,このような取り組みはアウトリーチの一環として分野を問わず学部や大学の企画として一般的なものとなったことから,大学経由で依頼が来ることが多くなった.出前授業のメニューと講師は随時更新しており,現在のテーマ数は表1に示すように16を数える.2) また,高校からの要請があれば,メニューに載っていない授業内容も引き受けている.事業開始初期のころは宮城県内に限っていたが,現在では要請があれば東北各県,場合によっては関東の方まで授業に出向くこともある.年間20件から30件ほど申し込みがある.

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第10回高校物理の授業に役立つ基本実験講習会
in 東北(福島)の様子
2025年 福島県立安積中学校・高等学校

二つ目の取り組みは「高校物理の授業に役立つ基本実験講習会」で,日本物理教育学会が主催している企画で,これに共催という形で協力している.この講習会は,主に高校理科の先生方を対象に,高校物理の授業における実験指導の充実と授業の質の向上を目的に毎年開催されている.内容は力学・電磁気学などの基本実験のほか,ICT機器やスマートフォンを活用した実験,探究活動につながる実践例も取り入れて構成している.東北大学の1年生向け学生実験の課題を参考にしてもらうなど,物理学の発展的な学びに触れる機会の提供にも努めている.こちらは2013年度(平成25年度)から始めた事業で10年以上続いている.当初は仙台で行われていたが,徐々に東北の他県でも行われるようになっている.

最後に,東北支部の取り組みとして紹介したいのは,「学都『仙台・宮城』サイエンス・デイ」である.こちらはNPO法人natural scienceが主催するイベントで,その概要は「『科学の"プロセ<ス"を子どもから大人まで五感で感じられる日』をコンセプトに,『学都』として知られる『仙台・宮城』において,2007年度から毎年7月に開催している体験型・対話型の科学イベント」である.3) 東北大学の川内キャンパスを会場として,仙台および近郊の大学・研究所から,高専,民間企業,中学・高校の科学クラブ,民間科学サークルに至るまで,100を超える団体が様々な独自のプログラムを出展し,1万人程度の参加者があるかなり規模の大きいイベントとなっている.東北支部では,これに2016年度(平成28年度)から共催という形で協力している.このイベントでは,見学者が自由に賞を創設してたたえることができる点がユニークで,審査という形でより積極的にイベントに参加できるような仕掛けになっている.ちなみに,2025年度は72もの賞がそれぞれのプログラムに対して贈られた.多くの協賛団体が独自の視点で賞を創設しており,授賞式も一つのイベントになっている.東北支部でも,高校生以下の団体で物理に関係した出展をしているプログラムを対象として「日本物理学会東北支部長賞」を,またこれらの団体を指導している方を対象として「科学指導者賞」といった賞を贈っている.

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サイエンス・デイ2025の様子
2025年 東北大学川内キャンパス

このイベントに参加している出展者の中には物理学会の会員も多数含まれているものと思われる.また企画・運営しているNPO法人には東北大学の物理学専攻の卒業生や現役の教員が参画しており,地域に根付いた取り組みを行っている.

以上,東北支部の活動を紹介させてもらった.支部としては,今後も全国規模では取り組むのが難しい地域の科学振興に何らかの形で貢献できればと考えている.

参考文献
1) 寺内正己,日本物理学会誌56,489(2001).
2)https://www.tohoku.jps.or.jp/shibu/
3)https://www.science-day.com/

(文責:木村憲彰 / 日本物理学会誌81巻7号掲載)