日本物理学会とそのパートナーとなる各国の物理学会は共同で、科学における国際的な協力に関する以下のような声明を発表しました。
Principles & Policies for International Scientific Collaboration
<参考:和訳>
科学における国際的な協力の原則と方針
科学は本質的に国境を超えるものです。科学における国際的な協力は、世界や宇宙、さらには私たちが共有する地球規模の課題の理解に大きな進歩をもたらしてきました。科学における国際的なパートナーシップは、人類がこれらの大きな課題に対して画期的な発見をもたらすものです。同様に、国際的な協力は政治的、イデオロギー的な分断を超えた相互理解を育みます。
研究は、その結果が広く共有されることでもっとも有用になるものです。同時に、そこに参加する科学者は、オープンな科学協力と国家安全保障をバランスさせる必要があります。また、研究者は知的財産権、現地の法律や規制を尊重し、人々の文化的多様性を尊重すべきです。そこで、ここに署名する各国の物理学会および国際組織は、国際的な科学協力に不可欠な以下の原則を遵守するよう、そのメンバーや世界中の科学者に呼びかけるものです。
- 誠実さ:科学者は、研究コミュニティの基盤となる専門的な価値観や原則、ベストプラクティスに従い、公平かつオープンで信頼できる研究環境をつくるべきです。これらの原則に従わないと、研究活動とその便益を損なうおそれがあります。
- 透明性:科学におけるオープンな環境では、すべてのパートナー間で透明性が求められます。科学者は、共同研究におけるすべての資金提供源、メンバー、組織について、参加者や政府に対して公表すべきです。共同研究内の情報の流れや文書についても同様です。
- 相互性:科学者や機関は、すべての協力パートナーに利益をもたらすよう、題材、知見、データ、研究施設へのアクセス、教育の機会を共有すべきです。
同様に、国際協力から国益が十分得られるように我々は、それぞれの政府や国際的な科学協力の方針や施策に関わる方々に対し、以下のことを呼びかけます:
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- 研究者やパートナー間の科学的な交流を可能にするような旅行やビザの政策を策定すること。
- 多国間の研究協力に不必要な障壁を生じさせないよう政策を検証すること。
- 若手科学者向けの国際的な研究協力と交流の機会を増やすこと。
最後に、我々はすべての利害関係者―政府、研究機関、学会等―に対し、科学研究における責任ある行動を定める明確な基準を普及させるよう強く要請します。また、我々は世界中のすべての科学者に、上記の原則を守るだけでなく、それらが専門家としての行動と倫理的振る舞いの基礎をなしていることを強調するよう求めるものです。