JPSJ注目論文

JPSJ 2016年5月号の注目論文

複数の電子軌道が絡んだ多重スピン揺らぎが生み出す鉄系超伝導

 鉄系高温超伝導では、鉄の異なる電子軌道にいる複数の電子が伝導に寄与するため、電子の併せ持つスピンと軌道の2つの特徴が超伝導の起源とどのように関係しているかが発見以来の大きな争点となってきた。本研究は、鉄系超伝導の典型物質LaFeAsO系において元素置換により構造と電子ドープ量を制御して広範な組成域に渡って系統的に核磁気共鳴(NMR)実験を行い、鉄の複数の縮退電子軌道が絡んだ多重反強磁性スピン揺らぎが、鉄系超伝導転移温度の上昇と極めて深く関係していることを明らかにした。今後、幅広い鉄系物質全体を理解する上で一つの重要な指針を与える研究成果である。

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原論文は以下よりご覧いただけます
Multiple Antiferromagnetic Spin Fluctuations and Novel Evolution of Tc in Iron-Based Superconductors LaFe(As1−xPx)(O1−yFy) Revealed by 31P-NMR Studies
Takayoshi Shiota, Hidekazu Mukuda, Masahiro Uekubo, Fuko Engetsu, Mitsuharu Yashima, Yoshio Kitaoka, Kwing To Lai, Hidetomo Usui, Kazuhiko Kuroki, Shigeki Miyasaka, Setsuko Tajima, J. Phys. Soc. Jpn. 85, 053706 (2016).