JPSJ 2017年7月号の注目論文
超流動ヘリウム中でヘリウム結晶を動かす
極低温において存在する超流動ヘリウム中で、基板をずれ振動させ、その基板上に作成したヘリウム結晶を水平方向へ駆動することに成功した。この駆動方法はいわゆる尺取虫駆動法の一種で、摩擦を利用して通常物質を駆動するのに使われてきたが、観測されたヘリウム結晶の運動は通常物質の運動と大きく異なるものであった。ヘリウム結晶は、振動を開始した直後は変形をするのみで移動せず、この変形が完了した後に初めて大きく移動した。この振る舞いは、高速で超流動体から結晶成長する、ヘリウム結晶の量子性が関わった新しいタイプの駆動様式の可能性がある。
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原論文は以下よりご覧いただけます
Inchworm Driving of 4He Crystals in Superfluid
Taichi Yoshida, Akira Tachiki, Ryuji Nomura, and Yuichi Okuda, J. Phys. Soc. Jpn. 86, 074603 (2017).