JPSJ 2019年9月号の注目論文: 超伝導回路における量子臨界現象の観測方法の提案
超伝導回路における量子臨界現象の観測方法の提案
超伝導量子ビットと伝送線路を組み合わせた超伝導回路において、量子臨界現象が生じる回路の作成方法が理論的に提案された。その超伝導回路にマイクロ波を照射させると、マイクロ波散乱の反射率に量子臨界現象を反映した特徴的な周波数依存性が現れることが明らかにされている。本研究成果により、強く相互作用する量子ビット-光子複合系を舞台とした量子臨界現象を観測する具体的な指針が初めて与えられたこととなる。
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Microwave Scattering in the Subohmic Spin-Boson Systems of Superconducting Circuits
Tsuyoshi Yamamoto and Takeo Kato, J. Phys. Soc. Jpn. 88, 094601 (2019).
JPSJ 2019年9月号の注目論文: 数が増えるとリズムが生まれる?~しょうのう粒に現れる集団振動運動~
数が増えるとリズムが生まれる?~しょうのう粒に現れる集団振動運動~
水面に浮かべると自発的に動き回る「しょうのう粒」という無生物素子の集団において、数密度の増加に伴い個々の粒の運動様相が劇的に変わる現象が発見され、実験と理論モデルと組み合わることで,その基本的な発現メカニズムが明らかにされた。これは、生物において、個体群の密度に応じて個々の振る舞いが切り替わる「クオラムセンシング」に類似した現象である。実験制御の容易な無生物系でのクオラムセンシングの研究は,従来の生物系の研究に対して新たな視座を与えるものと期待される。
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Dynamical Quorum Sensing in Non-Living Active Matter
Yui Matsuda, Kota Ikeda, Yumihiko Ikura, Hiraku Nishimori, Nobuhiko J. Suematsu, J. Phys. Soc. Jpn. 88, 093002 (2019).