JPSJ 2019年12月号の注目論文: 「Domain壁の物理」の新展開:"Domain境界"から"Domain"へ
「Domain壁の物理」の新展開:"Domain境界"から"Domain"へ
六方晶 RMnO3 (R:Y, In)において形成される荷電ドメイン壁に着目し、荷電ドメイン壁内の分極構造について高分解能走査透過型電子顕微鏡(HAADF-STEM法を用いて詳細に調べ、結果が標準的なφ4理論で予測される様相から系統的なずれを示す事を観測した。そこで新たに標準的理論を超えた理論体系(φ6理論)を展開し、理論曲線と実験結果との見事な一致を得た。更にドメイン壁内の秩序を特徴づける'ソリトン'を定義し、ドメイン壁の構造の性質を、融合的/競合的(attractive/repulsive)に相互作用し合う一対のソリトン対の振舞の問題として包括的に扱える事を示し、「ドメイン壁の物理」について新しい概念の提示を行っている。
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原論文は以下からご覧いただけます。
A New Aspect of the Charged Domain Wall in Hexagonal RMnO3 Systems (R: Y, In)
Shigeo Mori, Hiroaki Ishizuka, Sang-Wook Cheong, Naoto Nagaosa, Yasusada Yamada, J. Phys. Soc. Jpn. 88, 124603 (2019).
JPSJ 2019年12月号の注目論文: 新手法で挑む極限環境下の高温超伝導
新手法で挑む極限環境下の高温超伝導
本研究では、単体の硫黄と水素を超高圧力下(150万気圧)でレーザー加熱することによりH3Sを合成した。放射光X線を用いた粉末X線回折実験によって合成された試料は、H2Sを出発物質として合成されたH3Sよりも結晶性が良く、さらに硫黄等の不純物を含まない純良なものであることが分かった。この試料に対して電気抵抗測定を行ったところ、T = 200 Kで急峻な抵抗値の減少を伴う超伝導転移が観測された。
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原論文は以下からご覧いただけます。
Superconductivity of Pure H3S Synthesized from Elemental Sulfur and Hydrogen
Harushige Nakao, Mari Einaga, Masafumi Sakata, Masaomi, Kitagaki, Katsuya Shimizu, Saori Kawaguchi, Naohisa Hirao, and Yasuo Ohishi, J. Phys. Soc. Jpn. 88, 123701 (2019).