JPSJ 2020年3月号の注目論文: ボルボサイトにおけるフラストレート磁性と熱輸送現象にミクロな視点から迫る
ボルボサイトにおけるフラストレート磁性と熱輸送現象にミクロな視点から迫る
銅鉱物ボルボサイト（Cu3V2O7(OH)212H2O）は、相互作用間の競合から多彩な現象が生じるフラストレート磁性体の好例として関心を集めてきたが、そのミクロな視点からの理解は長年の課題であった。これに関し、同物質の隠れたトライマー構造に基づいた理論解析が行われた。特に、異方的相互作用によりマグノンの熱ホール効果が起きることが示され、熱輸送実験と定性的に合致する振舞が得られた。また、磁場の印加方向に強く依存した磁気相図が予言された。ボルボサイトは、量子系のフラストレーション効果を理論・実験の比較のもとで明らかにできるモデル・ケースになると期待される。
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原論文は以下からご覧いただけます。
Effects of Dzyaloshinskii-Moriya Interactions in Volborthite: Magnetic Orders and Thermal Hall Effect
Shunsuke Furukawa and Tsutomo Momoi, J. Phys. Soc. Jpn. 89, 034711 (2020).