JPSJ注目論文

JPSJ 2020年4月号の注目論文: 単純な流体系における非平衡相転移としての乱流遷移

単純な流体系における非平衡相転移としての乱流遷移

流体運動の乱流化に関して、層流-乱流の亜臨界遷移(subcritical transition)を起こす条件、および乱流が空間的に局在する条件が、コルモゴロフ流れと呼ばれる単純な2次元流体系において、初めて壁境界が存在しない周期的境界条件のもとで理論的・数値的に明らかにされた。また、この系で観測される亜臨界遷移では、あるパラメタ範囲で、乱流の空間占有率が非平衡相転移の普遍クラスの一つである有向パーコレーション普遍クラスと矛盾しないことを示唆する結果が得られた。

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原論文は以下からご覧いただけます。
Subcritical Laminar-Turbulent Transition as Nonequilibrium Phase Transition in Two-Dimensional Kolmogorov Flow
Yoshiki Hiruta and Sadayoshi Toh, J. Phys. Soc. Jpn. 89, 044402 (2020).

JPSJ 2020年4月号の注目論文: 強相関電子系における普遍的な非線形伝導現象

強相関電子系における普遍的な非線形伝導現象

早稲田大学理工学術院の研究チームは、様々な遷移金属酸化物において、10-5秒程度のパルス電場でも普遍的に非線形伝導が観測されることを明らかにした。さらに、非線形伝導が見出されるしきい電流密度と電気抵抗率の絶対値の間に、反比例の関係が成り立つことも明らかにした。これは、これまでに観測されてきた強相関電子系における非線形伝導の前駆現象に対応すると考えられる。

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原論文は以下からご覧いただけます。
Nonlinear Behavior in the Electrical Resistance of Strongly Correlated Insulators
Takuro Katsufuji, Hiroaki Ikeda, Misa Ashizawa, Michiyo Oike, and Tomomasa Kajita, J. Phys. Soc. Jpn. 89, 044702 (2020).

JPSJ 2020年4月号の注目論文: 物質中のマヨラナ粒子の磁気異方性-映進対称性と四極子型の応答-

物質中のマヨラナ粒子の磁気異方性-映進対称性と四極子型の応答-

非自明なZ2不変量を有する時間反転対称性のあるトポロジカル超伝導体の表面に現れるマヨラナ粒子(クラマース対)の磁気応答が一般的に検討され,マヨラナクラマース対はその個数に依存して特有な磁気異方性を示すことを明らかにされた.特に,映進対称性によって保護された2つのマヨラナクラマース対は四極子に似た磁場応答を生じる.本研究は特異な磁場応答によりマヨラナクラマース対を観測・制御できる可能性を示唆しており注目を集めている.

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原論文は以下からご覧いただけます。
Magnetic Response of Majorana Kramers Pairs Protected by Z2 Invariants
Yuki Yamazaki, Shingo Kobayashi, and Ai Yamakage, J. Phys. Soc. Jpn. 89, 043703 (2020).