JPSJ 2020年6月号の注目論文: 金属薄膜磁気異方性の検定的手法によるモデル選択
機械学習によって機能性の高い物質・材料を探索する研究はマテリアルインフォマティクスとよばれ,現在,多くの研究者から注目を集めている。本研究ではサンプルデータ全体の回帰を行うのではなく、サンプルデータの一部が分布の偏りを与える条件を見出すことでモデル選択を行う手法とその可視化手法を開発した。具体的に磁気異方性の分布偏りを与える金属薄膜の原子配置条件を求め、正の分布と負の分布を与える条件が大きく異なることを示した。
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Maximum Separated Distribution with High Interpretability Found Using an Exhaustive Search Method --Application to Magnetocrystalline Anisotropy of Fe/Co Films--
Hiori Kino, Kohji Nakamura, Koji Hukushima, Takashi Miyake, Dam Hieu Chi, J. Phys. Soc. Jpn. 89, 064802 (2020).
JPSJ 2020年6月号の注目論文: 銅酸化物高温超伝導体における新しいタイプの臨界点
銅酸化物超伝導体が高温超伝導を示すメカニズムは未だなお明らかとなっていないが、1つの手がかりとして考えられているのが、超伝導転移温度よりも高温でフェルミ面の一部が消失する擬ギャップ現象である。本研究では、この擬ギャップ現象が電子系の回転対称性が破れた"擬ギャップ相"への相転移である実験的証拠が得られた。この擬ギャップ相が消失する臨界点付近においては電子系が回転対称性を破ろうとする揺らぎが大きくなっていることから、高温超伝導をもたらすメカニズムと関係している可能性が議論されている。
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Divergent Nematic Susceptibility near the Pseudogap Critical Point in a Cuprate Superconductor
Kousuke Ishida, Suguru Hosoi, Yuki Teramoto, Tomohiro Usui, Yuta Mizukami, Kenji Itaka, Yuji Matsuda, Takao Watanabe, and Takasada Shibauchi, J. Phys. Soc. Jpn. 89, 064707 (2020).
JPSJ 2020年6月号の注目論文: 量子アニーリングと局在現象に対する新たな視点
制約条件のもとでの量子アニーリング(QA)を行う際に,通常のペナルティ関数を用いるのではなく制約量子アニーリング(CQA:Constrained QA)という,制約条件が自然に満たされるように量子ゆらぎの項を設定する方法がある.隣り合う頂点を別の色で塗り分けるグラフ彩色問題にCQAを適用した場合に,QA探索上の困難であるアンダーソン局在に類似した現象発生に関して,数値計算によってエンタグルメントなどの観点から考察を行い,通常のQAとは別の視点から局在現象を議論している.
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Localization in the Constrained Quantum Annealing of Graph Coloring
Kazue Kudo, J. Phys. Soc. Jpn. 89, 064001 (2020).