JPSJ 2020年12月号の注目論文: "質量のない"電子の不思議な量子相転移
電子間相互作用が強くなるとディラック電子が質量ギャップを獲得と考えられてきたが、電子間相互作用を圧力で自在に制御できる有機ディラック電子系α-(BEDT-TTF)2I3の金属非金属相転移において、質量ゼロの性質を保持したまま量子相転移を起こすことが明らかにされた。強い電子相関効果の存在によって、量子力学的なゆらぎの効果が抑制されるにも関わらず、電荷秩序や磁気秩序などの形成を起こさないで量子臨界点へ向かうことは予想外の結果であり、質量ゼロのディラック電子系の本質に迫る結果として注目を集めている。
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原論文は以下からご覧いただけます。
Quantum Phase Transition in Organic Massless Dirac Fermion System α-(BEDT-TTF)2I3 under Pressure
Yoshinari Unozawa, Yoshitaka Kawasugi, Masayuki Suda, Hiroshi M. Yamamoto, Reizo Kato, Yutaka Nishio, Koji Kajita, Takao Morinari, and Naoya Tajima
J. Phys. Soc. Jpn. 89, 123702 (2020)