JPSJ 2022年9月号の注目論文:ARPES顕微鏡のノウハウを公開
光電子運動量顕微鏡(photoelectron momentum microscope)は不均一試料の微小部分を拡大する顕微観察(microscope)と試料の物性を決定づける電子のふるまい(運動量momentum)の可視化を同一装置で実現する。分子科学研究所の研究グループは本装置で初めて可能になる運動量選択光電子顕微法を開発し、グラファイトの褶曲によって出現する数μm幅のファセット構造を可視化し、その局所価電子帯分散を測定してみせた。本手法は微小結晶試料表面やナノデバイスの顕微電子状態解析を実現する点で、ナノ材料科学・量子デバイス工学の強力な基盤技術となると期待される。
詳しい説明はこちらから。
原論文は以下からご覧いただけます。
Domain-Resolved Photoelectron Microscopy and micrometer-scale Momentum-Resolved Photoelectron Spectroscopy of Graphite Armchair Edge Facet
Fumihiko Matsui, Yasuaki Okano, Hiroyuki Matsuda, Takayuki Yano, Eiken Nakamura, Satoshi Kera, and Shigemasa Suga, J. Phys. Soc. Jpn. 91, 094703 (2022).