JPSJ注目論文

JPSJ 2023年4月号の注目論文:時空間反転対称性に守られた重い電子状態

CeMnSiは、CeとMnという、タイプが異なる2種類の磁性原子を含む。温度を下げると、まず室温付近でMnが反強磁性秩序を示し、系の時間反転対称性が破られる。これにより、結晶元来の空間反転対称性が破られる一方、時間と空間の複合操作である時空間反転対称性は保たれる。この特異な状況下で、Ceに由来した重い電子状態の可能性が指摘された。伝導電子が磁気秩序を起こした中での重い電子状態は、おそらく他に例が無い。時空間反転対称性に守られたスピン自由度が、この現象のカギを握る。

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原論文は以下からご覧いただけます。
Possible Heavy-Fermion State in PT-Symmetric Antiferromagnet CeMnSi
Hiroshi Tanida, Hiroto Matsuoka, Yukihiro Kawamura, and Keisuke Mitsumoto, J. Phys. Soc. Jpn. 92, 044703 (2023)