JPSJ 2023年6号の注目論文:励起子絶縁体から半金属への光誘起相転移過程に出現する擬ギャップ状態
励起子絶縁体Ta2NiSe5では、フェムト秒赤外パルスレーザーの光励起によって価電子帯と伝導帯の間のエネルギーギャップが100フェムト秒の時間スケールで消失して半金属となることが知られていた。本研究では、フェムト秒赤外パルスレーザーをポンプ光、その高次高調波の極紫外パルスをプローブ光とする時間分解角度分解光電子分光を用いた詳細な測定により、励起子絶縁体から半金属に遷移する途中で価電子帯と伝導帯の間に擬ギャップ(不完全なエネルギーギャップ)を持つ特異な量子状態が現れることが発見された。
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原論文は以下からご覧いただけます。
Temporal Evolution and Fluence Dependence of Band Structure in Photoexcited Ta2Ni0.9Co0.1Se5 Probed by Time- and Angle-Resolved Photoemission Spectroscopy
Yu Takahashi, Takeshi Suzuki, Masaki Hattori, Mario Okawa, Hidenori Takagi, Naoyuki Katayama, Hiroshi Sawa, Minoru Nohara, Yigui Zhong, Kecheng Liu, Teruto Kanai, Jiro Itatani, Shik Shin, Kozo Okazaki, and Takashi Mizokawa, J. Phys. Soc. Jpn. 92, 064706 (2023).