JPSJ 2023年8月号の注目論文:正確な量子計測を目指して ―ダイヤモンド量子センサの意外な光学特性―
ダイヤモンド中の窒素空孔(NV)中心を用いた磁場・温度測定は代表的な量子計測(量子センシング)であり、物性物理計測への応用も始まっている。一方で、NV中心ならではの測定手法を確立するには、感度だけでなく正確さ(確度)の向上も重要である。NV中心の最も基本的な測定手法である光検出磁気共鳴(ODMR)では、ODMRスペクトルから磁気共鳴周波数を見積もることで磁場や温度を決定する。今回、ODMRスペクトルが励起光強度によって変化するという意外な現象に対して系統的な調査が行われた。得られた結果は、より確度の高い磁場測定への有用な指針を与えるものである。
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原論文は以下からご覧いただけます。
Optical-power-dependent Splitting of Magnetic Resonance in Nitrogen-vacancy Centers in Diamond
Shuji Ito, Moeta Tsukamoto, Kensuke Ogawa, Tokuyuki Teraji, Kento Sasaki, Kensuke Kobayashi, J. Phys. Soc. Jpn. 92, 084701 (2023).