JPSJ 2023年10月号の注目論文:新しい超伝導体ファミリー:異なる磁性元素をもつ7個の新超伝導体の発見
物質の電気抵抗が低温で完全にゼロになる超伝導と、鉄やコバルトといった磁性元素が示す磁性の間には複雑な関係があるが、その解明にとって、磁性元素を含む新超伝導体の発見が必要不可欠である。今回、スカンジウム(Sc)、テルル(Te)と、磁性元素(Mと記す)からなる物質Sc6MTe2の中で、7種類の磁性元素の場合に超伝導となることが発見された。同じ結晶構造をもつ物質群において、このように多彩な磁性元素の場合に超伝導となり、しかも磁性元素の特徴が超伝導に現れる例はこれまでほとんど知られていない。この発見は、室温超伝導の実現にとっての鍵の可能性もある、磁性元素をもつ超伝導体の物理の解明に繋がる成果である。
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原論文は以下からご覧いただけます。
Superconductivity in Ternary Scandium Telluride Sc6MTe2 with 3d, 4d, and 5d Transition Metals
Yusaku Shinoda, Yoshihiko Okamoto, Youichi Yamakawa, Haruka Matsumoto, Daigorou Hirai, and Koshi Takenaka, J. Phys. Soc. Jpn. 92, 103701 (2023).