JPSJ 2024年1月号の注目論文:電流による新たな絶縁体金属転移
硫化サマリウム(SmS)は、黒色から金色への色の変化を伴う圧力誘起絶縁体金属転移だけでなく、最近、負の微分抵抗を伴う電流誘起絶縁体金属転移(CIMT)を示すことが報告された。このCIMTの起源を明らかにするために、電流印加下の光反射スペクトルと光電子スペクトルによって電子構造変化を調査した。負の微分抵抗が観測された温度・電流領域では、電流の増加とともに急激なキャリア密度の増加と緩和時間の減少が観測され、さらに平均価数が増加することがわかった。これらの結果は、電流印加によってSmの4f軌道と伝導バンドの混成強度が増加することがCIMTの起源であることを示唆している。
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原論文は以下からご覧いただけます。
Current-Induced Metallization and Valence Transition in Black SmS
Shin-ichi Kimura, Hiroshi Watanabe, Shingo Tatsukawa, Takuto Nakamura, Keiichiro Imura, Hiroyuki S. Suzuki, Noriaki K. Sato
J. Phys. Soc. Jpn. 93, 013701 (2024).