JPSJ注目論文

JPSJ 2024年9月号の注目論文:電場を使って磁性体を冷やす

1930年代には磁性体に加えていた磁場を消去する方法によって1ケルビン(摂氏マイナス272度)以下の温度を実現することが可能となった。これと同じような冷却操作を電場でも行うことができるのではないかというアイデアに基づいて、強誘電性と強磁性の両方の性質を併せ持つガドリニウムと鉄の酸化物に着目して実際に電場による冷却に成功したことが報告された。

詳しい説明はこちらから

原論文は以下からご覧いただけます
Magnetoelectric Coupling Based Caloric Effect in Multiferroic GdFeO3
Rintaro Ikeda, Takashi Kurumaji, Yusuke Tokunaga, and Taka-hisa Arima, J. Phys. Soc. Jpn. 93, 094709 (2024)

JPSJ 2024年9月号の注目論文:磁性ワイル半金属におけるカイラルゲージ場に起因したトポロジカル電磁応答

ワイル半金属は、古典電磁気学を超えた電磁応答を示すトポロジカル物質の一つであり、基礎研究のみならず、スピントロニクス機能性の観点からも注目されている。仮想的なゲージ場「カイラルゲージ場」を用いてワイル半金属の電磁応答を記述する試みがあるが、磁性ワイル半金属ではその構造に関する知見は限られていた。本論文は、巨大なスピン分極を持つ磁性ワイル半金属Co3Sn2S2に着目し、磁気構造とカイラルゲージ場描像の対応関係を有効模型に基づき示している。これにより、磁性ワイル半金属における磁気構造に関連した様々な電磁応答の探索が期待される。

詳しい説明はこちらから

原論文は以下からご覧いただけます
Chiral Gauge Field in Fully Spin-Polarized Weyl Semimetal with Magnetic Domain Walls
Akihiro Ozawa, Yasufumi Araki, and Kentaro Nomura J. Phys. Soc. Jpn. 93, 094704 (2024).