JPSJ注目論文

JPSJ 2025年1月号の注目論文:高出力紫外光源の開発とイッテルビウム原子のリドベルグ励起の観測

中性冷却原子を用いた量子コンピュータでは、原子間の相互作用を利用した2量子ビットゲートの実装に、リドベルグ状態と呼ばれる原子の高エネルギー状態が用いられる。高忠実度な演算を達成するためには、リドベルグ状態への励起に必要な高出力で低ノイズの紫外光源が不可欠である。イッテルビウム原子をリドベルグ状態に励起する波長325 nmの高出力光源の開発が行われ、リドベルグ状態へのコヒーレント励起が報告された。この成果は、2量子ビットゲートの実現に向けた重要な第一歩となる。

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原論文は以下からご覧いただけます
Development of a High-power Ultraviolet Laser System and Observation of Fast Coherent Rydberg Excitation of Ytterbium
Yuma Nakamura, Naoya Ozawa, Toshi Kusano, Rei Yokoyama, Kosuke Shibata, Tetsushi Takano, Yosuke Takasu, and Yoshiro Takahashi
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 014301 (2025)

JPSJ 2025年1月号の注目論文:データを隠しながら共用する、ベイズ最適化による材料探索手法

様々な物性値や材料特性の最適化にデータ科学的手法が広く使われるようになってきている。そのために、データを持ち寄って探索をより速めたいが、それぞれはデータを開示することには消極的である。別の選択肢としてデータを隠したまま共用を実現する秘匿計算技術がある。今回、この技術を用いたベイズ最適化による材料探索手法が報告された。この手法により、性能の良くないデータを共用する場合でも、少ない探索回数で最適化が行われることが統計的な性能評価によって示された。

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原論文は以下からご覧いただけます
Materials Secure Computation with Secret Sharing: A Bayesian Optimization Scheme and Its Performance
Taro Fukazawa, Tsutomu Ikegami, Masaaki Kawata, and Takashi Miyake
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 013801 (2025)