JPSJ 2025年9月号の注目論文:第二次高調波発生による電子強誘電体薄膜の分極構造解明
電子強誘電体YbFe2O4薄膜において、第二高調波発生(SHG)の入射角および偏光方位角依存性が調べられた。結果がこの系の対称性(点群m)に基づき解析されることによって、YbFe2O4の非線形感受率テンソルの全ての成分比が初めて決定された。これまで、バルク結晶では強誘電分極の相関長(分極がそろっている長さ)が短く、分極軸方向のテンソル成分が不明であった。今回のエピタキシャル薄膜はバルク単結晶よりもc軸方向の電子分極配列が揃っているため、すべての成分比が決定されたただけでなく、電子強誘電体の分極軸方向の非線形感受率が極めて大きいことが初めて明らかになった。
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Polarization Structure Probed by Incident Angle Dependence of Second Harmonic Generation in Electronic Ferroelectric YbFe2O4
Xiaopu Wang, Hongwu Yu, Tadahiko Ishikawa, Shinya Koshihara, Naoshi Ikeda, Misato Nasu, Tatsuo Fujii, and Yoichi Okimoto,
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 094802 (2025).
JPSJ 2025年9月号の注目論文:乱れによって熱起電力の向きが変わる
有力な熱電材料であるホイスラー型金属間化合物Fe2VAlでは、高温急冷の熱処理によって熱起電力の向きが逆転するという特異な現象が報告されていた。急冷で生じるアンチサイト欠陥という磁性元素の乱れに着目した理論研究により、乱れによって生じる共鳴状態の寄与で正孔キャリアと電子キャリアの散乱確率が大きく変化して熱起電力の向きが変わるという機構が提案された。この新しい機構は、より高い性能を持つ熱電材料の設計指針となると期待される。
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Effects of Antisite Defects on Seebeck Coefficient in Fe2VAl -- Analyses based on Bipolar Random Anderson Model
Takami Tohyama and Hidetoshi Fukuyama
J. Phys. Soc. Jpn. 94, 094603 (2025).
