公開講演会等

日本物理学会 2022年度公開講座

「量子の舞台でスピンは踊る
 ~素粒子、磁石、量子コンピューター~」

参加申込の受付は9月上旬頃を予定しています。

内容:

みなさんは「スピン」と聞くと何を思い浮かべますか。氷上でのフィギュアスケーターの華麗なスピン? あるいは卓球やゴルフのボールの強烈なバックスピン? 原子や電子などのミクロな世界においても「スピン」という言葉が使われますが、それは、日常目にする「回転運動」や大学初年時に学習する「角運動量」と似ている点もあるものの、ちょっと(いや、かなり)違った性質を持ち合わせています。今年は電子スピンの存在の明確な証拠として有名なシュテルン-ゲルラッハの実験からちょうど100年になります。20世紀の初頭、ミクロな世界を理解するために、従来の古典物理学とは異なる新しい理論である量子力学が誕生しつつあったころ、「スピン」は発見されました。理論物理学者のパウリに「古典的記述不可能」とまで言わしめたスピン。その本質は、この100年の間に数多くの実験と理論をもとに明らかにされてきました。スピンは現在でも、物質の根源である素粒子から磁石・超伝導などの先端材料、そして量子コンピューターに代表される新しい量子技術にわたって、量子の世界の主役です。この公開講座ではスピンが発見された歴史をたどりつつ、物理学においてスピンがいかに重要か、そしてどのような新しい応用につながっているのか、素粒子、スピントロニクス、量子コンピューターの3つの分野の講師がわかりやすく解説します。「スピン」がみせる物理の魅力を存分に楽しんでください。

日 時:2022年11月26日(土)13:00~16:45
場所・開催形態:星陵会館ホール(地図)およびオンラインでのライブ配信
対 象:高校生、大学生、(小中高校等の)理科教員、一般
参加費:無料(要事前申込。)
定 員:未定

プログラム ※時間割は予定

13:00- 開会挨拶 田島 節子
(日本物理学会 会長)
13:10-
 14:10

スピンが支配する極微の世界の謎を解く

岩田 高広
(山形大学理学部 教授)

       休 憩
14:25-
 15:25
マテリアルデザインでスピンを操る

梅津 理恵
(東北大学金属材料研究所 教授)

       休 憩
15:40-
 16:40
スピンを用いて量子コンピューターを作る

川上 恵里加
(理化学研究所 浮揚電子量子情報白眉研究チームリーダー)

16:40- 閉会挨拶

長谷川修司
(日本物理学会 副会長)

講演概要:

1件目は、原子核を構成する陽子の持つスピンの起源を探索する研究について講演する。公開講座全体のイントロダクションも兼ねて、電子をはじめとする素粒子の基本的性質としてのスピンの解説、そして、そのスピンが物理学者の試行錯誤を経て約100年前に理解されていった歴史の話を経て、現在、陽子スピンが身近な医療診断に使われていることにも触れる。しかしその陽子スピンの起源は未だに不明であり、「スピンクライシス」ともよばれる物理学の大問題である。その謎に挑戦する国際プロジェクトCOMPASSの日本チームを率いる講演者により、スピンが支配する極微の世界の謎を解く研究の意義と面白さを伝える。

2件目は固体物理学においてスピンの効果がわかりやすく発現している磁石(磁性)と、スピンを使った新しいエレクトロニクスとして期待されているスピントロニクス研究の最前線について講演する。イントロダクションとして、電子や原子核から物質が構成されるときにスピンが重要な鍵を握っていること、そして身近な磁石の性質がスピンから生み出されていることを説明する。さらに、講演者の研究する固体中スピンの新しい応用としてのスピントロニクスの可能性を紹介する。講演を通じて、試行錯誤しながら新しい物質を作り出し、その性質を解明していく固体物理研究の楽しさを聴衆に伝える。

3件目は、電子スピンを使った新しい量子コンピューター開発研究について講演する。イントロダクションとして、社会的に注目を集めている量子コンピューターの原理と世界の開発研究の現状を紹介した後、講演者が取り組んでいる電子スピンを使った新しい量子コンピューターの研究を説明する。量子コンピューターは、素粒子の基礎的性質であるスピンの最も新しい使い道とも言える。次々と新しいアイディアと研究成果が生まれ、物理学の基礎と応用の魅力が存分に詰まった量子コンピューター研究の現場と、そこで活躍する若手研究者の熱気を聴衆に届ける。

申込方法

【準備中】

問い合わせ先 日本物理学会事務局 公開講座担当
電子メール:kouza-at-jps.or.jp (-at- を @ に置き換えて下さい。)
電話:03-3816-6201 FAX:03-3816-6208
主催 日本物理学会
世話人 物理教育委員会
畠山 温(東京農工大学)  安居院 あかね(​量子科学技術研究開発機構)
中村 琢(岐阜大学) 鳥井 寿夫(東京大学)
後援(予定) 日本物理教育学会、東京都教育委員会、千葉県教育委員会、
埼玉県教育委員会、神奈川県教育委員会、茨城県教育委員会