2022年度 世田谷区中学生講座(新・才能の芽を育てる体験学習:サイエンス・ ドリーム)
世田谷区教育委員会主催、日本物理学会協賛の「世田谷区中学生講座(新・才能の芽を育てる体験学習:サイエンス・ドリーム)」では世田谷区立中学校在学の中学生及び世田谷区内在住の中学生を対象に、物理や科学に対する驚きや楽しさを体感してもらうことを目的として、普段の授業では体験できない実験や施設の見学などの連続講座を行っております。
昨年度は会場を世田谷区教育センターの会議室で実施しましたが、今年度はコロナ禍以前同様、電気通信大学に移し、3つの密を避けつつ2日間3テーマの講座を行ないました。
新・才能の芽を育てる体験学習「サイエンス・ドリーム」(全2回)
会場 日時 定員 |
国立大学法人 電気通信大学 日時 7月30日(土)、7月31日(日) 両日とも13時30分~15時30分まで 各24名 |
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7月30日「電気回路工作で電気を振動させて音を鳴らそう」(参加者数:20名)
1日目は昨年度の講座で好評だった電子回路の講座を実施しました。ブレッドボードに、シュミットトリガインバータ、圧電スピーカ、電池、キャパシタ、および抵抗を差し込んでつくりました。はじめに、音叉を黒板に押し付けて鳴らすなどしながら、音についての簡単な話をしました。その後約1時間かけて、半導体インバータ回路を使った発振回路を組んでいきました。1秒間に1回スピーカがポツポツと上下する回路をまず作りました。スピーカをLEDに交換して点滅させ、回路の振動を目でも確認しました。そして、抵抗をぬきさしして、1秒間に2回、10回、100回、1000回と振動する回路をつくり、音を発生させました。参加した中学生全員が、自分の作った回路で音を鳴らすことができ、回路は持ち帰りました。最後に、振動の様子をパソコンオシロでスライドに表示し、音の高さによって電気信号の波の周期が連続的に変わっていくことを確認しました。FM世田谷の取材があり、途中休憩時や終了後に参加生徒から感想を取材していました。その様子は8月5日の放送で紹介されました。
7月31日
「光を分けてみよう」 (参加者数:11名、欠席1名)
「音を閉じ込めてみよう」 (参加者数:12名)
2日目はコロナ禍前の講座同様、大学1年生が実験授業で使用している機器を使用して2つの講座を同時に実施しました。
「光を分けてみよう」では、600本/mmの回折格子で水素のスペクトルを観察しました。白色光や様々の色の話、色を定量的に区別するには波長という量を用いることなどの説明の後、回折格子による分光の説明がありました。実際に、水素の放電管からは赤紫色の光が出ているように見えますが、回折格子を通して、赤や青、紫などの単色光に分けられることを観測しました。それぞれの色の回折角を計測し、波長を求めました。ミリメートル(mm)やナノメートル(nm)が混じった計算が大変だったようです。バルマーの式を確認できた生徒もいました。1次の回折と2次の回折の両方から、同じ波長が出てきたことに驚いた生徒もいました。
「音を閉じ込めてみよう」では、クントの円管を用いて音速を求めました。スピーカーの音を、周波数をゆっくり変化させながら円管に閉じ込めます。円管の中に敷いたコルク粉の様子から共鳴周波数を求め、円管のサイズと併せて空気中の音速を求めました。周波数を変えて観測された複数の共鳴周波数と、その時の波長(実際には円管内に閉じ込められた定在波のモード数)の関係をグラフに表し、グラフから値を読み取る練習もしました。円管内の気体を空気からヘリウムに変えた実験も行いました。