Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ)は、日本物理学会が刊行する月刊誌で、創刊以来、レベルの高い論文を出版してきました。各号は、Full Papers, Letters等のオリジナル論文から構成され、随時、Invited Review Papers, Special Topicsを掲載しています。最新の論文は、オンライン公開後、約1か月間無料でご覧いただけます。[> JPSJホームページ]
注目論文 (Papers of Editors' Choice)
- 毎月の編集委員会では、注目論文(Papers of Editors' Choice)を選んでいます。その日本語による紹介文を日本物理学会誌とJPSJ注目論文に掲載しています。注目論文はオンライン公開後1年間無料で閲覧できます。関連した話題についての解説がJPSJホームページの「News and Comments」覧に掲載される場合もあります。
JPSJニュースレター
- 年次・秋(春)季大会の開催にあわせてニュースレター(日本語)を発行しています。
JPSJニュースレター最新号(No. 42) をウェブ公開しました。
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最新のJPSJ注目論文
超伝導ダイオード効果とは超伝導電流の最大値(臨界電流値)が向きによって異なる現象であり、エネルギーロスのない整流素子への応用面からも注目されている。最近、半導体2重量子ドットに3個の超伝導電極を接続したデバイスが研究され、高いダイオード効果を示すことがわかった。ダイオード効果の増大は、超伝導位相の2次元空間における特異点(ディラック点)に起因する。
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Superconducting Diode Effect in Double Quantum Dot Device
Go Takeuchi, Mikio Eto, J. Phys. Soc. Jpn. 94, 054701 (2025).
カイラル螺旋結晶において, 対称性を反映したカイラルフォノンの波動関数を用いることによって, 電子とカイラルフォノンの相互作用の一般論が構築された. この相互作用の頂点関数は, 頂点における波数と結晶角運動量の保存則を適切に取り込んだものとなっている. さらに, カイラルフォノンの波動関数を用いて, Lipkin's Zilchとして知られる光学におけるカイラリティの尺度の類似物が定義され, 結晶角運動量との関連が明らかになった.
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Electron-Chiral Phonon Coupling, Crystal Angular Momentum, and Phonon Chirality
Tomomi Tateishi, Akihito Kato, and Jun-ichiro Kishine, J. Phys. Soc. Jpn. 94, 053601 (2025).
室温でも安定な磁気形状記憶効果が重い電子系物質CeSb2において発見された。この物質は強磁場を印加することで磁化容易軸が切り替わり、その記憶が室温でも保持される。さらに、磁場印加方向を変えることで容易軸方向を繰り返し切り替えることができる。この物質は磁気異方性が大きなCe原子が特徴的な「パンタグラフ」構造を有しており、Ce原子間距離を保ったままパンタグラフの伸縮により軸切り替えが起きていると考えられる。今後、磁気メモリーや磁場による高速制御が可能なアクチュエーターなどへの応用が期待される。
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Novel Easy-Axis Switching through Metamagnetism in CeSb2
Atsushi Miyake, Ryuta Hayasaka, Hiroto Fukuda, Masaki Kondo, Yuto Kinoshita, Dexin Li, Ai Nakamura, Yusei Shimizu, Yoshiya Homma, Fuminori Honda, Masashi Tokunaga, Dai Aoki, J. Phys. Soc. Jpn. 94, 043702 (2025).
原子層の結晶方位をずらして重ねたツイスト2次元物質では、非整合な格子のもたらすモアレ模様は様々な物性を変化させる。ツイスト二層系における音響フォノンが層間モアレポテンシャルによって強く結合することに着目して、その下での熱伝導率の影響が理論的に調べられた。その結果、モアレ結合したフォノンが本来の単層におけるフォノンよりも著しく低い速度を持つことで熱伝導率が強く抑制されることが明らかになった。さらに、これらの変化が、通常の2次元系の振る舞いから逸脱した特徴的な温度依存性をもたらすことも示された。
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Low-temperature Thermal Transport in Moiré Superlattices
Lukas P. A. Krisna, Takuto Kawakami, and Mikito Koshino, J. Phys. Soc. Jpn. 94, 044602 (2025).