JPSJ

Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ)は、日本物理学会が刊行する月刊誌で、創刊以来、レベルの高い論文を出版してきました。各号は、Full Papers, Letters等のオリジナル論文から構成され、随時、Invited Review Papers, Special Topicsを掲載しています。最新の論文は、オンライン公開後、約1か月間無料でご覧いただけます。[> JPSJホームページ]

注目論文 (Papers of Editors' Choice)

  • 毎月の編集委員会では、注目論文(Papers of Editors' Choice)を選んでいます。その日本語による紹介文を日本物理学会誌とJPSJ注目論文に掲載しています。注目論文はオンライン公開後1年間無料で閲覧できます。関連した話題についての解説がJPSJホームページの「News and Comments」覧に掲載される場合もあります。

JPSJニュースレター

  • 年次・秋(春)季大会の開催にあわせてニュースレター(日本語)を発行しています。
    JPSJニュースレター最新号(No. 40) をウェブ公開しました。

    また、これまでに発行したニュースレターはこちらからご覧いただけます。

最新のJPSJ注目論文

不純物や不均一性を全く有さない超伝導体が磁場下に置かれたときの低温相である渦糸固体相では、電流に伴う渦糸の散逸運動により電気抵抗は有限であるというのが通常の理解であった。しかし実際の十分良質な単結晶の電気抵抗データは、渦糸液体から固体相への凍結が「超伝導」転移、つまり電気抵抗消失の原因であることを示している。銅酸化物超伝導体などで以前から見られていたこの一見奇妙な現象が今回、繰り込まれた超伝導揺らぎの理論の拡張による詳細な計算により理解できるようになった。

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原論文は以下からご覧いただけます
Vanishing of Resistivity upon Freezing of Vortex Liquid in Clean Superconductors
Naratip Nunchot and Ryusuke Ikeda, J. Phys. Soc. Jpn. 93, 054712 (2024).

磁性材料の巨視的特性の評価を行うために、ランダウ・リフシッツ・ギルバート(LLG)方程式で用いる交換スティッフネス定数A(T)を第一原理計算で求めた。本研究では、実用材として代表的なFe20Ni80(パーマロイ)とFePtを取り上げたが、両系ともに室温におけるA(T)の計算結果は測定値をよく再現しており、FePtについてはA(T)に大きな方位依存性が存在することなど興味深い結果を示している。

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Evaluation of the Exchange Stiffness Constants of Itinerant Magnets at Finite Temperatures from the First-Principles Calculations
Akimasa Sakuma, J. Phys. Soc. Jpn. 93, 054705 (2024).

転移温度約80 Kの圧力下高温超伝導が二層型ペロブスカイト構造のニッケル酸化物La3Ni2O7において発見されたことにより、遷移金属酸化物における高温超伝導探索の歴史は新たな転換点を迎えた。本研究では、核磁気共鳴(NMR)法を用いてLa3Ni2O7および類似の三層型La4Ni3O10の常圧における電荷やスピンの自由度が絡むミクロ電子状態を調べた。その結果、これらの物質は共通して電荷が空間分布した密度波転移を伴う金属的な電子状態を有していることを見出した。今後の圧力下高温超伝導現象との関係の解明へ向けた一歩となる成果である。

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Multiband Metallic Ground State in Multilayered Nickelates La3Ni2O7 and La4Ni3O10 Probed by 139La-NMR at Ambient Pressure
Masataka Kakoi, Takashi Oi, Yujiro Ohshita, Mitsuharu Yashima, Kazuhiko Kuroki, Takeru Kato, Hidefumi Takahashi, Shintaro Ishiwata, Yoshinobu Adachi, Naoyuki Hatada, Tetsuya Uda, and Hidekazu Mukuda, J. Phys. Soc. Jpn. 93, 053702 (2024).

銅酸化物高温超伝導体の中でも最も高い超伝導臨界温度(Tc)を持つHgBa2Ca2Cu3O8+δ(Hg1223)は魅力的な研究対象である。しかし、毒性があり蒸気圧も高いHgを含むことや、Hg1223相が化学的に不安定であることから、良質な単結晶を再現性良く得ることは容易ではなかった。本研究では、Hg1223単結晶を再現性良く育成する方法の確立を目指し、出発原料、化学組成比、温度条件の最適化を行った。また反応容器を工夫することで安全性も確保した。その結果、Hgの一部をReで置換した(Hg,Re)1223について、大きさが1×1 mm2程度の単結晶を再現性良く得ることに成功した。

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原論文は以下からご覧いただけます
Single-Crystal Growth and Characterization of Cuprate Superconductor (Hg,Re)Ba2Ca2Cu3O8+δ
Yutaro Mino, Shigeyuki Ishida, Junichiro Kato, Shungo Nakagawa, Takanari Kashiwagi, Takahiro Nozue, Nao Takeshita, Kunihiro Kihou, Chul-Ho Lee, Taichiro Nishio, and Hiroshi Eisaki, J. Phys. Soc. Jpn. 93, 044707 (2024).



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