日本物理学会誌

第54巻 第10号(1999)

cover9910.jpg表紙から
近接場光学顕微鏡によって観察した半導体ドットからのフォトルミネッセンス画像。試料はGaAs基板上に成長させた自己形成InGaAs量子ドットである(日本電気株式会社光・超高周波デバイス研究所西 研一氏, 斎藤英彰氏提供). 室温における1つ1つのドットからの発光が明るいスポットとして観測されている。左上挿入図は, この画像計測に使用した近接場光学顕微鏡プローブ先端の電子顕微鏡写真。中央部に作製された開口の直径は約70nmである. この開口を通して励起光(波長633nm)を試料に照射し,量子ドットからのフォトルミネッセンス(波長1μm)を再び開口を通して集光している。画像サイズは8μm×8μmであり, 100nm程度の分解能が達成されていることがわかる。詳細は本号実験技術欄参照。(神奈川科学技術アカデミー 斎木敏治氏提供)


特別
大苗 敦、池上 健: 周波数(波長)標準と物理学の出会うところ
遠藤 忠: 電磁気量標準の成り立ち
解説
原  隆、古池達彦: 重力崩壊における臨界現象
実験技術
斎木敏治、松田一成: 近接場光学顕微鏡による単一粒子分光
最近の研究から
町田昌彦、小山富男、立木 昌: 高温超伝導体における固有ジョセフソン接合系の非線形ダイナミクス
押川正毅、戸塚圭介、山中雅則: 量子スピン鎖における磁化プラトー
話題
井上政義: カオスの厳密解の応用-共役変換とエルゴード性から導かれる定積分公式-
談話室
清水忠雄: 標準研究の現状と問題点
追悼
星埜禎男: 三宅静雄先生を偲ぶ
特別(理事会関係)
第54期理事会: 定款変更案の作成について
第54期理事会: 物理学関連学術誌出版に関する相互協定について
新著紹介
戸田昭彦: G.R.ストローブル著 深尾浩次・宮本嘉久・宮地英紀・林 久夫訳: 高分子の物理; 構造と物性を理解するために
溝川貴司: F.Battaglia and T.F.George: Fundamentals in Chemical Physics
冨松 彰: V.P.Frolov and I.D.Novikov: Black Hole Physics; Basic Concepts and New Developments
中西 毅: R.Saito, G.Dresselhaus and M.S.Dresselhaus: Physical Properties of Carbon Nanotubes
小西哲郎: E.Goles and S.Martinez,ed: Cellular Automata and Complex Systems
編集後記
津島 晴