日本物理学会誌

第55巻 第9号(2000)

cover0009.jpg表紙から
大型ヘリカル装置におけるらせん状の高温プラズマの素顔。核融合科学研究所では大型ヘリカル装置(LHD)を建設し,1億度のプラズマの生成を目指して核融合・プラズマ物理実験を進めている。左の図は,LHD特有の捻れたドーナツ状プラズマの周辺部の磁場構造を接線方向から見たコンピュータ画像である。右の図は,数千万度の温度を持つ水素プラズマを可視光観測用CCDカメラによって実際に撮影した画像である。プラズマ中心部では温度が高いので発光が可視光領域から真空紫外,軟X線領域へと移るために透けて見えている。両図は非常に良い一致を示していることから,エラー比5×10の-4乗以下という高い精度を持ったらせん状の磁力線構造(磁気面と言う)の中に高温のプラズマが生成されていることが確認できる。詳細は本号解説記事参照。  (核融合科学研究所 藤原正巳,本島 修氏提供)



巻頭言
多田邦雄: IPAPの発足について
大学の独立法人化問題
池内 了: 国立大学の独立法人化問題
牟田泰三: 米国州立大学と独立行政法人化問題
釜江常好: 後世に誇れる国立大学の法人化を達成しよう-基礎科学の立場から見た大学の法人化の諸問題-
交流
藤井保憲、岩本 昭、日高 洋: 素粒子の結合定数の時間変化とOklo現象
解説
深井 有: 水素と金属-高圧実験から知られたこと-
藤原正巳、本島 修: 無電流高温トーラスプラズマの物理-超伝導大型ヘリカル装置による初期実験の成果-
最近の研究から
石原 一、井須俊郎、秋山浩一、張紀久夫: 内部電場のナノ空間構造による巨大非線形応答
若松正志: 核子スピンの謎をカイラル-クォーク-ソリトン模型で解く
ラ・トッカータ
井上 慎: MITの凝縮職人サーン!
授業の小道具
勝木 渥: サッカーボールとテニスボール
新著紹介
尾高一彦: 細谷暁夫: 量子コンピュータの基礎 [学部・大学院向]
若林淳一: 大塚洋一小林俊一編: 輸送現象測定[大学院向・専門書]
高山 一: 西森秀稔: スピングラス理論と情報統計力学[大学院向]
戸谷友則: 柴田一成福江 純松本亮治嶺重 慎編: 活動する宇宙-天体活動現象の物理-[学部・大学院向]
高安秀樹: R.N.Mantegna and H.S.Stanley: An Introduction to Econophysics;Correlations and Complexity in Finance[大学院向]
会員の声
■日本物理学会年次大会・秋季大会会場での保育室設置について ■理事会よりの回答
編集後記
吉岡大二郎