第56巻 第4号(2001)
表紙から
電子プラズマの渦運動が織りなす渦度分布の時間経過。電子プラズマは自己電場と一様な外部磁場とに垂直な方向に流れを作る。この二次元の流れは極めて散逸 の小さな非圧縮性の渦であり,その渦度は電子密度に比例する。表紙の写真は,背景渦のなだらかな分布の中に渦糸を置き,その後の渦度分布の時間変化を画像 として計測したものである。円筒導体の中に置かれた渦糸は,真空中では長時間(<0.5s)にわたり離散したまま軌道運動を維持するが,背景に弱い渦があ ると,それを媒体として数十μsで急速に接近したり合体したりする。第1行は背景渦度の勾配を1本の渦糸が登ることを示す(渦糸が自由運動を始めた後の時 刻は左から順に6, 14, 18, 34 μs. 以下同様)。第2行は2本の渦糸が背景渦度分布の頂上で急速に合体する様子を示す(18, 30, 60, 10,000 μs)。第3行はその背景渦度の勾配が小さくなると,真空ならば合体するはずの距離まで近づいたあと安定な対を形成することを示す(44, 130, 230, 10,000 μs)。詳細は本号解説記事参照。なお渦運動の動画をhttp://cobalt.phys.h.kyoto-u.ac.jp/users/kiwamoto/で公開中。
(京都大学総合人間学部基礎科学科 際本泰士氏提供)
電子プラズマの渦運動が織りなす渦度分布の時間経過。電子プラズマは自己電場と一様な外部磁場とに垂直な方向に流れを作る。この二次元の流れは極めて散逸 の小さな非圧縮性の渦であり,その渦度は電子密度に比例する。表紙の写真は,背景渦のなだらかな分布の中に渦糸を置き,その後の渦度分布の時間変化を画像 として計測したものである。円筒導体の中に置かれた渦糸は,真空中では長時間(<0.5s)にわたり離散したまま軌道運動を維持するが,背景に弱い渦があ ると,それを媒体として数十μsで急速に接近したり合体したりする。第1行は背景渦度の勾配を1本の渦糸が登ることを示す(渦糸が自由運動を始めた後の時 刻は左から順に6, 14, 18, 34 μs. 以下同様)。第2行は2本の渦糸が背景渦度分布の頂上で急速に合体する様子を示す(18, 30, 60, 10,000 μs)。第3行はその背景渦度の勾配が小さくなると,真空ならば合体するはずの距離まで近づいたあと安定な対を形成することを示す(44, 130, 230, 10,000 μs)。詳細は本号解説記事参照。なお渦運動の動画をhttp://cobalt.phys.h.kyoto-u.ac.jp/users/kiwamoto/で公開中。
(京都大学総合人間学部基礎科学科 際本泰士氏提供)
- 解説
- 中村勝弘、馬 駿: 量子カオスとビリアード
- 風間洋一: M理論とは何か
- 際本泰士: 非中性プラズマ中の渦運動
- 最近の研究から
- 草間義紀、小関隆久: トカマクプラズマにおけるアルヴェン固有モードと高速イオン損失
- 学界ニュース
- 秋光 純: エキゾチックなホウ素化合物
- ラ・トッカータ
- 望月優子、松尾由賀利、延與秀人: 物理学会託児室をめぐって
- 談話室
- 吉田 敦、政池 明: ベトナムへ英文図書を贈る
- [会誌編集委員会より] 外務省「草の根文化無償」について
- 江尻宏泰: 国際研究協力ネットワークMESON
- 法橋 登: 一電子干渉実験のビデオを見て
- 授業の小道具
- 兵頭俊夫: シャワーキャップの終速度
- 遠藤龍介: 文系向け物理学における小道具
- 追悼
- 高木修二、玉垣良三、永田 忍: 小林稔先生を偲ぶ
- 水野幸雄:木原太郎先生を偲んで
- 新著紹介
- 小幡常啓: S.Fujita and S.Godoy: Quantum Statistical Theory of Superconductivity
- 折原 宏: I.Musevic, R.Blinc and B.Zeks: The Physics of Ferroelectric and Antiferroelectric Liquid Crystals
- WWW運営小委員会だより
- 編集後記
- 小島謙一