日本物理学会誌

第56巻 第6号(2001)

cover0106.jpg表紙から
ハイパー核ガンマ線分光用の大型ゲルマニウム検出器システム,Hyperball。この装置により,Λハイパー核(Λ粒子を構成要素として含む原子核)のガンマ線の高精度測定が初めて可能になった。下図はこの装置を用いて測定された7ΛLi ハイパー核のガンマ線スペクトルの一部で,M1, E2 と書かれたピークは7ΛLiのM1((3/2)+→(1/2)+)及びE 2((5/2)+→(1/2) +)遷移である。右下の図はこの実験により解明されたこのハイパー核の準位図。前者のガンマ線からΛ核子間のスピン・スピン相互作用の強さが解明され,また後者のガンマ線からΛによる原子核の収縮効果が観測された。詳細は本号「最近の研究から」記事参照。(東北大学大学院理学研究科 田村裕和氏提供)



特別
植松英穂、竹田辰興、西尾成子: 日本における核融合研究開発の歴史
解説
萩谷昌己、有田正規: 分子計算とその物理的基礎
実験技術
中野敏行: 三次元素粒子飛跡の並列画像処理-原子核乾板によるニュートリノ研究-
最近の研究から
田村裕和、谷田 聖: ハイパー核ガンマ線分光学の幕開け
松本浩典、松下聡樹、鶴  剛、川辺良平: 新種ブラックホールの発見とその意義-成長するブラックホール-
前田京剛、戸川欣彦、坪井 隆、北野晴久、花栗哲郎: ボルテックス系のダイナミクス-ノイズ測定による研究-
重川秀実、石田真彦、武内 修、三宅晃司、森 健彦: 低次元有機伝導体表面の構造相転移と表面電荷密度波
学界ニュース
素粒子論委員会: 第一回素粒子メダル
井上 一: X線天文衛星「あすか」の大気圏突入とその足跡
宇治進也: 2次元有機伝導体における磁場誘起超伝導
新著紹介
(短)喜多村章一: R.M.Barnett, H.Muehry and H.R.Quinn: The Charm of Strange Quarks: Mysteries and Revolutions of Particle Physics
井村健一郎: A.Comtet,T.Jolioeur, S.Ouvry and F.David,ed.: Topological Aspects of Low Dimensional Systems
寺嵜 亨: K.H.Meiwes-Broer,ed.: Metal Clusters at Surfaces; Structure, Quantum Properties, Physical Chemistry
鶴貝達政: U.F.Katz: Deep Inelastic Positron-Proton Scattering inthe High-Momentum-Transfer Regime of HERA
金野秀敏: A.M.Kamchatnov: Nonlinear Periodic Waves and Their Modulations; An Introductory Course
会員の声
■核融合炉発想の転換 ■Re: 会誌の役割-その2
編集後記
森 正樹