日本物理学会誌
第58巻第11号
- 表紙から
- 微小重力到達後に、プラズマ中に注入した微粒子群の集団的な自己構造形成過程を表す。湾曲電極対向型高周波放電プラズマ中央に、可動ダストドロッパー
(t=0写真中央の四画状のもので、注入後撤収)で直径10
μmのアクリル微粒子を多数注入すると、微粒子群は負に帯電し、プラズマ中央部から周辺へ向かうイオン流によるドラグ力によって押し出され、微粒子群の中
央部に微粒子の存在しないボイドが形成されていく。中央の写真は十分に時間が経過したt=11sの微粒子分布を示す。ボイド内のプラズマとそれを取り囲む
帯電微粒子群の相互作用により、微小重力環境下の球状配位においてボイドは球状である。球状ボイドは比較的安定であるが、それを取り囲む微粒子群には大振
幅の低周波揺動が観測されている。詳細は本号掲載の飯塚哲氏らの最近の研究から欄記事参照。(東北大学大学院工学研究科 飯塚 哲氏提供)
- 解説
- 妹尾仁嗣、鹿野田一司、福山秀敏:分子性結晶における電荷秩序
鈴木久男:超弦理論から導く非可換ゲージ理論の厳密解
- 最近の研究から
- 中野貴志、保坂淳之:5クォーク新粒子の発見
飯塚 哲、佐藤徳芳:微小重力環境におけるプラズマ中微粒子の集団構造形成
伊藤克美、加藤光裕、澤中英之、宗 博人:格子超対称性と市松模様
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年次大会および秋季大会についてのお知らせとお願い
- 谷村吉隆
- 学界ニュース
- 上田和夫:第7回(平成15年度)久保亮五記念賞受賞;押川正毅氏
- 談話室
- 第27回「物理学者の社会的責任」シンポジウム
川野眞治、馬場浩太、吉野太郎:科学者・専門家の倫理とは
吉城 肇:英国での中性子電気双極子能率測定の最近の動向
- 歴史の小径
- 植松英穂:一人歩きした武谷三段階論
- 国際会議
- 広瀬立成:「レーザー・ビーム相互作用」ICFA国際ワークショップ
- 新著紹介小特集「物理入門書の紹介」
- 井上直也、仁藤 修、安田 修、植松英穂:第4回「一般啓蒙書・エッセイ等」
- 新著紹介
- 伊藤智徳:後藤芳彦 「結晶成長」
枝川圭一:平賀賢二 「準結晶の不思議な構造;アルスの森を散歩して」
井上信幸:J.ウェッソン著、伊藤早苗・矢木雅敏訳 「トカマク概論」
- 編集後記
- 多辺由佳