第61巻第1号
分数量子ホール系(一様磁場中の2次元電子系(青い面))。上のパネルは、一様磁場をフィラメント状の磁束にして電子に貼り付ける「複合粒子変換」を示 す。この変換が、分数量子ホール効果を理解する一法となる。底に見えているフラクタル上のグラフは、複合粒子変換により再現される分数量子化のパターン。 下のパネルは、レーザー冷却された原子からなるBose-Einstein凝縮体を回転させると、内部に渦糸が入る様子を示す(このパネルは、上田正仁氏 (東工大理)、笠松健一氏(大阪市大理)提供)。分数量子ホール効果の理論と形式的に共通するものがあると考えられている。詳細は、本号に掲載されている 青木秀夫氏の解説記事を参照のこと。
巻頭言
会長挨拶 佐藤勝彦 1
2005世界物理年によせて--アインシュタインから朝永・湯川へ 九後太一 2
シリーズ「日本の物理学100年とこれから」
電磁物性の物理--物質科学におけるNMR, μSRを中心として-- 安岡弘志 3
解 説
超対称模型とフレーバーの物理 久野純治 12
量子ホール効果--進展と展望 青木秀夫 19
ガウス関数展開法による少数粒子系の精密計算--原子・分子からクォーク系まで--
肥山詠美子,木野康志,上村正康 27
最近の研究から
不均一電場による中性分子の並進運動の制御 山北佳宏 36
時間依存密度行列理論による原子核の集団運動へのアプローチ 遠山 満 40
学界ニュース
2005年ノーベル物理学賞; Roy J. Glauber氏,John L. Hall氏,Theodor W. Hansch氏
小林孝嘉,大苗 敦 45
徳本圓氏がThe Jack E. CROW Prizeを受賞 村田惠三 46
談話室
科学・技術を文化として見る気風を醸成するために 江沢 洋 47
こんな論文を御存知ですか?--日本人が発見した骨の圧電効果 鹿児島誠一 49
新著紹介小特集「学会誌の記事を広く楽しく読むために」
連載開始にあたって 中ノ勇人 51
学会誌の記事を広く楽しく読むために:プラズマ基礎,プラズマ科学,核融合,
プラズマ宇宙物理編 比村治彦 51
学会誌の記事を広く楽しく読むために:宇宙物理編 須藤 靖 52
新著紹介 54
Nuclear Energy; Principles, Practices, and Prospects:小 川 雅 生
Toward an International Virtual Observatory; Proceedings of the ESO/ESA/NASA/NSF Conference held at Garching, June 2002:水 本 好 彦
Irreversible Quantum Dynamics:中 ノ 勇 人
Galileo Galilei-When the World Stood Still:田 中 一 郎
物理教育委員会だより 渡辺靖志 58
編集後記
住吉 孝行