第62巻第6号
アルゴン原子に強レーザー場(強度1×1014 W/cm2、波長800 nm)が照射した場合の電子密度の時間変化。多電子ダイナミクスを時間依存密度汎関数理論により計算し,電子密度を対数スケールで示している。左から右 へ,レーザー電場の1周期分の電子密度が1/4周期ごとに示されており,原子の軌道から分離した波束が再度原子と衝突する再散乱過程が見られる。これによ り,多重イオン化や高次高調波発生が起こると考えられている。(提供者:矢花一浩氏(筑波大学)。詳細は本号に掲載されている矢花一浩氏の解説記事を参照 のこと。)
解 説
極低温分子の世界 梶田雅稔 399
多電子ダイナミクスの量子シミュレーション --時間依存密度汎関数理論の最近の発展-- 矢花一浩 406
実験技術
遷移金属酸化物単結晶の非双晶化技術: YBa2Cu3Oy を例として 瀬川耕司 415
最近の研究から
エンタングルメント・エントロピーのホログラフィーを用いた幾何学的記述:
AdS/CFT対応からの視点 高柳 匡,笠 真生 421
強い相互作用で探る原子核の弱い相互作用への応答--スピン・アイソスピン型遷移の
高分解能研究-- 藤田佳孝,藤田浩彦,足立竜也 426
ガラス転移理論の新展開--動的不均一性とモード結合理論-- 宮崎州正 431
話 題
実在系の分子理論 榊 茂好 435
JPSJはこの3年間にどう変わったか--専任編集委員長の任期を終えるに当たって-- 斯波弘行 439
シリーズ「物理教育は今」
物理教育の一環としての社会教育--科学における社会リテラシー-- 平田光司 443
学界ニュース
第47回(平成18年度)東レ科学技術賞; 永宮正治氏 浜垣秀樹 446
2007年ベンジャミンフランクリンメダル受賞; 戸塚洋二氏 中畑雅行 446
平成18年度日本学術振興会賞・日本学士院学術奨励賞受賞; 古澤 明氏 平野琢也 446
平成18年度日本学術振興会賞・日本学士院学術奨励賞受賞; 大森賢治氏 中村宏樹 447
平成18年度日本学術振興会賞; 杉山 直氏 白水徹也 447
ラ・トッカータ
マックスプランク研究所滞在記 清水鉄司 447
談話室
忘れられた論文:金属における量子干渉効果を予言したChambers-斯波-福山理論をめぐって 豊田直樹 449
JPSJの最近の注目論文から Vol. 76 (2007) No. 3より 斯波弘行 451
新著紹介 454
温暖化の 〈発見〉 とは何か; 矢 吹 哲 夫
量子スピン系; 不確定性原理と秩序; 奥 西 巧 一
改訂 固体の中の電子; バンド計算の基礎と応用; 新 井 正 男
確率論的リスク解析 基礎と方法; 清 野 健
編集後記
福谷 克之