第62巻第7号
磁性探針を用いた室温でのスピン偏極走査トンネル顕微鏡(STM)測定の様子を示す。上段にモデル図、下段左図は実験で得た表面の形状像(明るいほど高い 位置を示す)、下段右図は同じ場所で得た磁気像を示す(40 nm×40 nm)。 試料としてMn(001)膜を使用した。表面のMn 6原子層目と7原子層目の間でスピンコントラストが確認できる。Mn膜が層間で反強磁性結合していることが分かった。さらにMn膜上につけたわずか数十個 のFe原子スピンが室温において固定され、下地のMn層との間で同一直線上にない磁気結合をしていることも分かった。(学習院大学理学部 山田豊和氏提 供)
実験技術
スピン偏極走査トンネル顕微分光法 山田豊和,溝口 正 499
最近の研究から
宇宙の暗黒成分は本当に必要か?--長距離・長時間での重力の変更--
向山信治 509
量子最速曲線 古池達彦,奥平陽介,細谷暁夫 513
励起原子プローブで分子を見る--衝突イオン化における立体異方性の観測--
岸本直樹,大野公一 518
可視・紫外レーザーによる磁性薄膜での光電子磁気二色性 中川剛志,横山利彦 522
話 題
臨界現象・フラクタル研究の新世紀--SLEの発見-- 香取眞理 527
「論文捏造」取材の現場から 村松 秀 531
About the European Physical Society (EPS) F. Wagner 536
学会報告
2007年春季大会シンポジウムの報告 領域委員会 541
JPSJの最近の注目論文から Vol. 76 (2007) No. 4より 高山 一 549
学界ニュース
本多記念賞; 新庄輝也氏 高梨弘毅 552
第9回守田科学研究奨励賞; 市川(近藤)温子氏 552
科学ジャーナリスト賞 552
第1回凝縮系科学賞 552
歴史の小径
日下周一(1915-1947)-もう一人の中間子研究者- 加藤賢一 553
談話室
アテネ会議湯川講演と科学の理想 法橋 登 555
初めての環太平洋合同物理学会(素粒子理論・実験)を終えて 河本 昇,住吉孝行 556
追 悼 望月和子先生を偲んで 鈴木 直 558
新著紹介 559
有機物性化学の基礎; 岩井伸一郎
振動・波動; 大 澤 幸 治
Stealing the Gold; A Celebration of the Pioneering Physics of Sam Edwards; 田 中 秋 広
一般相対論の世界を探る; 重力波と数値相対論; 浅 田 秀 樹
編集後記
真庭 豊