第64巻第6号
マルチフェロイックスのスピンカレントモデル. (上図)スピンが互いに傾いたとき(非共線構造)反転対称性が破れ,その結果スピン・軌道相互作用を通じて電気分極Pが発生する.この現象はスピンカレン トまたはベクトルスピンカイラリティという概念で理解でき,電気分極は公式P=ηeij×(Si×Sj)によりあらわされる.これよりスパイラル磁性体が 強誘電性を示す.(下図)スパイラル磁性体マルチフェロイックスのドメイン壁構造.スピンのテクスチャーが電気分極のドメイン構造となり, その運動が大きな誘電応答をもたらす. 詳細は本号解説記事 「磁性と誘電性の物理-マルチフェロイックス」 を参照.
解 説
磁性と誘電性の物理-マルチフェロイックス 永長直人,十倉好紀 413
宇宙における衝撃波粒子加速機構の新展開 星野真弘,天野孝伸 421
アハロノフ・ボーム効果とゲージ・ヒッグス統合理論 細谷 裕 429
最近の研究から
非平衡系における時間相関の厳密解 今村卓史,笹本智弘 436
テバトロン実験でヒッグス粒子にどこまで迫れるか 金 信弘,増渕達也 440
非平衡系の揺らぎと応答のエネルギー論 原田崇広 445
話 題
産業技術総合研究所におけるテニュアトラック制度:現状と今後の問題点 一村信吾,瀬戸政宏 449
JPSJの最近の注目論文から Vol. 78 (2009) No. 3より 髙山 一 452
シリーズ「"ポスドク" 問題」
ポスドク問題への提言(2)応用物理の分野に於ける化学会社での
研究開発体験記 柴﨑一郎 456
歴史の小径
捨てられた京大サイクロトロンのその後 中尾麻伊香 461
国際会議
第4回ガラス物理の統一概念国際会議(Unifying Concepts in Glass Physics IV) 小田垣 孝 463
追 悼
西島和彦先生を偲ぶ 宇川 彰 464
新著紹介 465
電子伝導の物理; 佐 藤 英 行 〈首都大理工〉
Cosmology;; 早 田 次 郎 〈京大院理〉
Laser Spectroscopy Vol. 1; Basic Principle, Fourth edition
Laser Spectroscopy Vol. 2; Experimental Techniques, Fourth edition
;南 不二雄 〈東工大〉
An Introduction to Nuclear Astrophysics; 久保野 茂 〈東大CNS〉
キャリア支援センターだより
キャリア支援センター活動の中間報告 栗本 猛 468
編集後記
岩崎 昌子