日本物理学会誌

第66巻第03号

cover-11-03.jpg表紙から
分数量子ホール効果を示す新しい物質・酸化亜鉛(ZnO)の イメージ図.六方晶系のウルツ鉱構造を有するZnOは透明な半導体であり,圧電体で自発分極を持つ.Mgの添加によりバンドギャップと自発分極を制御で き,ZnOと(MgZn)Oとの界面には自発分極の不整合を緩和するように2次元電子ガスが蓄積される.最近,この2次元電子ガスの移動度が10万cm2 V-1 s-1を越え,分数量子ホール効果が発現した.図中下部の白丸と赤丸は酸素と亜鉛の原子で形成される六角形の結晶格子を示している.銀丸の電子と青色矢印 の磁束量子は,強磁場下で分数量子ホール状態を示す複合粒子をイメージしており,これは分数準位ν=1/3に対応する.詳細は本号に掲載されている川崎雅 司氏らの「解説」記事を参照のこと.



■口絵    
 
今月号の記事から  167

■巻頭言
  ・進展中の物理を平易な言葉で
      栗原 進 171

■最近のトピックス
  ・「悪魔」との取り引き-エントロピーをめぐって
      田崎晴明 172

■解 説
  ・表面吸着したナノサイズ分子の走査型トンネル顕微鏡による直接観察: 単一分子,表面拡散,選択的自己組織化
      横山 崇 174
 ・酸化物界面に閉じ込めた二次元電子の超伝導と量子ホール効果
      川﨑雅司,塚﨑 敦,上野和紀 180
 ・超伝導体を探る針~分光イメージング走査型トンネル顕微鏡~
      花栗哲郎 186 

■最近の研究から
  ・核力中のテンソル力が引き起こす原子核のシェル進化
      大塚孝治,鈴木俊夫 195
  ・第1.5種超伝導
      西尾太一郎 201

■話 題
  ・集団追跡と逃避
         上村 淳,大平 徹 205

■物理学会事務局での40年(II)
        清田勇毅 209

 

■JPSJの最近の注目論文から Vol. 79 (2010) No. 12より
        川畑有郷 221 

■学界ニュース
  ・2010年度サー・マーティン・ウッド賞:村上修一氏
      齊藤英治 225
  ・第14回松尾学術賞:五神 真氏
       上田正仁 225
  ・第24回日本IBM科学賞物理分野:木村 剛氏
      十倉好紀 225
  ・第24回日本IBM科学賞コンピューター・サイエンス分野
   :林 正人氏
      樺島祥介 225
  ・2010年度仁科記念賞:金子邦彦氏
      佐々真一 226
  ・2010年度仁科記念賞:前野悦輝氏
      上田和夫 226 

■談話室
  ・理科教育のためのCERN高校教師プログラムについて
        近藤敬比古 227

■追 悼 
  ・送別 森本雅樹さん
      海部宣男 229

 

■新著紹介小特集「学会誌の記事を広く楽しく読むために」[第14回]  230
 

■新著紹介 231
  ・サクライ「上級量子力学」第I巻; 輻射と粒子・サクライ「上級量子力学」第 II巻; 共変な摂動論 : 坂 井 典 佑 
  〈東京女子大情報理学〉
 ・Nonlinear Science; Challenge of Complex Systems : 
  福 本 康 秀 〈九大数理〉
 ・Rheophysics; The Deformation and Flow of Matter : 
  奥 村   剛 〈お茶 の水大理〉
 

■編集後記      坂本一之