日本物理学会誌

第66巻第11号

cover-11-11.jpg表紙から

現在開発を行っている,ニュートリノからの微弱な光を捕えるための,次世代大口径光検出器Hybrid Avalanche Photo-Detector (HAPD). HAPDは,半導体光検出器技術と光電子増倍管技術,さらに半導体エレクトロニクス技術を融合して開発された光検出器であり,従来型光電子増倍管と比較すると優れた波高分解能と時間分解能を持つ.左上図:13インチ口径HAPD. 20 kVの印加電圧で動作し,13インチという大光電面を有しつつも,200 psという高い時間分解能を達成.右上図:HAPDを用いて測定された波高分布.6光電子まで分離した信号のピークが見られる.左下図:HAPD読み出しのためにASICを用いて開発された高速波形サンプリングIC, Analog Memory Cell. 右下図:HAPDと高圧電源,読み出し回路をモジュール化し,電源とネットワークケーブルを接続するだけでデジタルデータが得られるように開発された,8インチ口径「デジタルHAPD」.詳細は本号に掲載されている阿部利徳氏らの「実験技術」記事を参照のこと.

 

■口絵
  今月号の記事から  805

■巻頭言     
  教育なくして研究なし 三沢和彦 809

■最近のトピックス
  T2K実験,第三レプトン混合角θ13の兆候をついに発見か? 安田 修 810

■解 説
 LHC実験:テラスケール物理の成果と展望 口絵 浅井祥仁 813

■実験技術    
 次世代大口径光検出器の開発 阿部利徳,相原博昭,田中真伸,河合克彦 821

■最近の研究から 
・微小非平衡系における情報熱力学 沙川貴大,上田正仁 828
・籠目格子反強磁性体の磁化過程-「磁化ランプ」という異常臨界現象-
・中野博生,坂井 徹 832
・磁性元素が関与しない磁性? 界面・点欠陥の役割を予測
 合田義弘,押山 淳,常行真司 836

■話 題     
・LCGT建設開始:重力波の初検出を目指して 川村静児 841
・LHC加速器におけるTeV領域原子核衝突プログラムの幕開け 口絵
 志垣賢太 845
・超伝導発現のカギに赤ワイン 口絵 高野義彦,出口啓太 849

■JPSJの最近の注目論文から Vol. 80 (2011) No. 8より 川畑有郷 853

■シリーズ「物理教育は今」
・2010年国際物理五輪への日本代表団派遣 江尻有郷 857

■学界ニュース  
・第11回素粒子メダル:木下東一郎氏,河本 昇氏,
・第11回素粒子メダル功労賞:岩崎洋一氏 北野龍一郎 861

■新著紹介  861
・Induction Accelerators:川 崎   温
・Crafting the Quantum; Arnold Sommerfeld and
  the Practice of Theory, 1890-1926:今 野 宏 之 〈別府大〉

■会員の声    
・もっと真実を知ろう-被ばく線量にはしきい値がある-  863

■編集後記 宮下精二