日本物理学会誌

第69巻 第2号

cover-14-02.jpg■表紙の説明 
2012年7月4日,CERNのATLAS実験とCMS実験は「ヒッグス粒子らしい新粒子を発見した」として合同セミナー及び記者会見を行った.上図(CERN ATLAS実験提供)はその当時のATLAS実験のヒッグス粒子の各質量に対するlocal p0分布である.バックグラウンドに対する非常に大きな事象超過が126 GeV付近にある一方で,それ以外の領域については2σ 以下のふらつきに落ち着いていることがはっきりと分かる.左下の写真(CERN提供)は,同セミナーで当時のATLAS実験代表のジャノッティ氏が,ヒッグス粒子の2光子への崩壊について報告を行っている様子である.これらの報告後にセミナーに招かれたアングレール氏(左)とヒッグス氏(右)は結果に対する驚きや喜び,そして両実験の成果に対する称賛を述べた(右下写真,CERN提供).ATLAS実験とCMS実験の結果を受け,両氏は2013年のノーベル物理学賞を受賞した.実験結果の詳細は本号に掲載されている田中純一氏の「解説」記事を参照のこと.

■巻頭言
物理学会支部活動の支援 兵頭俊夫  ・・・・・・    69

■現代物理のキーワード
AdS/CFT対応?―超弦理論と量子凝縮系物理のモダンな交流― 高柳 匡 ・・・・・・ 72

■解説
反応理論から探るバリオン励起状態 鎌野寛之,中村 聡,松山晶彦,佐藤 透 ・・・・・・ 74
LHC実験 質量126 GeVを持つヒッグス粒子の発見 田中純一 ・・・・・・ 83

■最近の研究から
屋久杉に刻まれた宇宙現象:西暦774-775年,993-994年の宇宙線強度異常 三宅芙沙,増田公明 ・・・・・・ 93
細胞膜の異常拡散―細胞内物性の理解へ向けて― 秋元琢磨 ・・・・・・ 98

■話題
クリエイティブ・コモンズとは何か―オープンアクセス時代の著作権と科学者― 林 和弘,桑原真人 ・・・・・・ 102

■JPSJの最近の注目論文から
10月の編集委員会より 安藤恒也 ・・・・・・ 106

■追悼
中村傳先生を偲ぶ 長柄一誠 ・・・・・・ 116

■新著紹介 ・・・・・・ 117
だれが原子をみたか ; 長谷川修司
現代の熱力学 ; 村山 能宏
オープンサイエンス革命 ;  北野 正雄