日本物理学会誌

第72巻 第10号

cover-17-10.jpg■表紙の説明
原子核乾板多段シフターによって付与された時間情報を用いて再構成したニュートリノ反応事象.原子核乾板は荷電粒子の軌跡を三次元的に1 μm以下の空間分解能で記録でき,かつ大規模化が可能な強力な飛跡検出器であるが,一方で本来時間分解能を持たず,記録された飛跡は数ヶ月から年スケールの時間的な不定性を持つ.多段シフターの導入によって原子核乾板に秒以下の時間分解能が付与でき,時間情報も使った事象再構成が可能となる.図は加速器ニュートリノ実験に導入した多段シフターの照射データで,破線下端の実線部分は3 cm×3 cmの領域の実測飛跡,破線はニュートリノビーム上流側へ外挿した飛跡である.上から,蓄積期間83日以上の全飛跡,時間範囲36時間,時間範囲7.4秒の飛跡を抽出したもの.詳細は本号に掲載されている高橋覚氏,青木茂樹氏の「実験技術」記事を参照のこと.作図協力:山田恭平氏(兵庫県立姫路飾西高等学校)

■巻頭言
学会誌の3つの使い方  長谷川修司 ...... 697

■現代物理のキーワード
ニュートリノ振動におけるCP対称性の破れの探索とその意義
(Keyword: レプトンにおけるCP対称性の破れ)

伊部昌宏,市川温子 ...... 700

■解 説
テンソルネットワーク形式の進展と応用  西野友年,大久保 毅 ...... 702

■最近の研究から
光学と逆問題:光トモグラフィー  町田 学 ...... 712

2次元ガラスのダイナミクス―無限対数ゆらぎと固有緩和―
芝 隼人 ...... 717

LIGOで検出された重力波は原始ブラックホールから?
須山輝明,田中貴浩,横山修一郎 ...... 723

鎖状系のエネルギー分配と遅い緩和:Boltzmann-Jeans則
小西哲郎,柳田達雄 ...... 728

■実験技術
多段シフターによる時間軸をもつ原子核乾板検出器の開発
髙橋 覚,青木茂樹 ...... 734

■話 題
超伝導量子コンピュータの開発状況~アメリカ物理学会参加報告~
杉山太香典 ...... 743

■話題―身近な現象の物理―
統計物理の眼で見るサッカー  成塚拓真,山崎義弘 ...... 747

■JPSJの最近の注目論文から
6月の編集委員会より  上田和夫 ...... 752

■新著紹介 ...... 754
スパース性に基づく機械学習:中西(大野)義典
機械学習入門;ボルツマン機械学習から深層学習まで:安田宗樹